とある恋人たちの日常。

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 少しくらいなら気にしないんだけれど、ちょっと……気になっちゃう、な。
 
 私の恋人は救急隊員で人を助ける仕事をしている。ただ、その中には危険な救助もある。
 大型の事件や事故があれば気軽にメッセージなんて見られない。
 だから簡単に既読がつかないことは理解しているんだけれど……。
 
 もう半日はつかない。
 
 心にゾクリと冷たいものが落ちる。
 
 こわい。
 色々な悪い予感が交差して身体が震えだした。
 
 こわいよ。
 あなたに何かあったのか、怖くて不安でソファに座って自分の身体を抑えることしか出来ない。
 
 彼がいなくなることなんて、私に耐えられそうにない。
 
 俯いたところでパッと光が視界に入った。
 いつの間にかに日が暮れていて照明も付けずに部屋は真っ暗になっていたことに気がつく。
 
 私はスマホに手を伸ばして画面を見る。
 力が抜けた。
 
『遅くなってごめん。すぐ帰るね!』
 
 たったそれだけ。
 全身から力が抜けて胸の奥から熱いものが溢れて、視界が揺れる。
 
「よかったぁ……」
 
 それだけしか言えなかった。
 
 ひとしきりに泣いたあと、慌てて彼に返事を送る。
 今度はきっと、彼の方が既読のつかないメッセージに慌てていたと思うから。
 
 
 
おわり
 
 
 
四九二、既読のつかないメッセージ

9/20/2025, 1:11:18 PM