三日月

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この世界は

 この世界は男と女が存在していて、この世界で|七海《ななみ》が好きな人は同じクラスの親友でもある|亜美《あみ》である。

 でも亜美には好きな人がいて⋯⋯その人は隣のクラスのイケメン男子|永遠《とわ》。

 恋してる亜美は日に日に可愛くなって行くのが目に見えて分かる程、本当に可愛くなっていた。

「あ、あのさ、亜美最近可愛さ増してない!!」
「ちょっ、いきなり何言うのよ⋯⋯そ、そうかな」
「うん、そうだよ!  本当に可愛くなってると思う」
「あ、ありがとう」

 突然すぎて亜美は驚いていたけど、お昼時間だったのでマスクをしていなかったこともあり、頬が紅く紅潮し顔を見るだけで照れているのが分かる。

「そういえば亜美の好きな人だけど、永遠だっけ⋯⋯その、やっぱり好きなの?」
「うん、好きだよ⋯⋯あ、そうだ、菜々美ちゃん私の恋応援してくれない、ってか応援してくれるよね?」
「えっ⋯⋯と⋯⋯う、うん、勿論イイよ! 応援する」
「わーぃ、七海ありがとう」

 つい、応援するなんて言っちゃったけど、実際問題、亜美と永遠がくっついて欲しくないという思の方が強くあって、応援出来るかどうか不安でしか無かった。

 そんな気持ちのまま、数ヶ月経ったある日の放課後、誰も居ない教室で、亜美は嬉しそうに告白が成功して今度デートすることになったのだと嬉しそうに話してきたのである。

 その言葉を聞いて「おめでとう!」と、そう口では言ったはずなのに、気付けば七海は自分のマスクを外し、そして亜美のマスクを外すと亜美の口に接吻していたのだった。

「や、やめてよ!」
「キャッ!!」
 
 七海は亜美に強く押されて尻もちを着くことに。

「ご、ごめん七海大丈夫?  いきなりだったからちょっと⋯⋯」
「ううん、ごめん、悪いのはこっちだから、亜美ごめん、実はずっーと亜美のことが好きだったの。  だからつい⋯⋯その、デートするって聞いたらヤキモチ焼いちゃって⋯⋯本当にごめん」
「知らなかったよ、まさか七海が私のこと好きだったなんて、気付かなくてごめんね」
「優しいんだね亜美は⋯⋯普通怒って嫌われると思ったから⋯⋯」

 ところが、亜美は優しく七海を抱きしめるとしばらくの間頭を撫でてくれたのだった。

 どのくらい経過したのだろうか、無言の時間が過ぎ去ったあと亜美が先に口を開く⋯⋯。

「あ、あのさ、実は私も七海のこと好きなんだよね⋯⋯だから、考えたんだけど永遠とのデートは断ることにするよ!」
「えっ、それでイイの?  後悔するんじゃ⋯⋯」
「イイよ⋯⋯だって七海の方が好きだもん、そりゃ、女と付き合ったことなんて一度も無いけどさ、でも、さっき七海にキスされた時にちょっと感じちゃったんだよね⋯⋯」
「まっ、マジ?」
「うん⋯⋯マジ!!  あのさ、キスしたってことは、今日から七海の彼女にしてくれるってことなんだよね!?」
「う、うん⋯⋯亜美が良ければ⋯⋯えへへ」
「イイに決ってるよ!  これからよろしくね」
「うん 」

 この世界は男と女が存在するけど、性別なんて気にせずもっと早く告白すれば良かったのかもしれない。

 七海はこれから先ずっと亜美と一緒にいられるかなんてまだ分からないけど、彼女となった亜美のことを大切にしようと胸に手を当て誓ったのだった。


――三日月――


 





 

1/16/2023, 8:13:34 AM