とある恋人たちの日常。

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 ほんの少し前までキレイな空だったのに、突然空が暗くなってきた。
 ゴロゴロと小さな音が聞こえる。
 
 扉の音が鳴り響き、私は音の方に振り返って彼の元へ足を向けた。
 
「ただいまー」
「おかえりなさい、空……」
「うん、急に寒くなったからゲリラ豪雨が来るかも」
 
 彼のそばに近づくと、当たり前のように正面から抱きしめ合う。この時間は付き合ってからずっと続けていた私たちの大切な儀式みたいなもの。
 
 まだ暑い季節なのに彼の服は少し冷たさを感じた。
 だからより一層強く抱きつく。体温を分け与えられるようにギューっと。
 
 彼も抱き締め返してくれるけれど、外からまたゴロゴロとさっきよりちょっと大きな音が聞こえる。
 その音にふたりして窓に視線を向けてしまった。
 
「これは来るね、雷」
「はい。光った様子がないから、ちょっと遠くから来るかもですね」
 
 
 
おわり
 
 
 
四六四、遠雷/遠来

8/23/2025, 12:55:27 PM