【胸が高鳴る】
明日は待ちに待った日。もうすぐ、この苦しいのから解放される。もう嫌いなあの人たちに日ごろの感謝を伝えた。大好きなあの子にも感謝を伝えた。よし、すべて終わった。今から楽しみだ。
最近、自殺者が増えているらしい。死に方はさまざまだが、飛び降り、オーバードーズが多いとか。
『はぁ、こんなのが流行るなんて、世も末ね。』
『そうだね。』
『あぁ、下の子はこの流行りに乗ってもいいけど、お願いだからお兄ちゃんは乗らないでほしいわ』
『本当にそうだね。』
母と父のこんな会話を聞いてしまった。下の子。ボクのことだ。そんな呼び方、前までしてなかったのに。ボクも死にたい。この辛いのから解放されたい。明日。そうだ、明日だ。
朝起きると、隣に冷たくなった兄ちゃんがいた。母は壊れた。怒鳴って喚いて泣いて家の物全部壊した。ガラスの破片がそこら中に散らばってキラキラ輝いて見えた。その音で近所の人が通報したみたいで警察に連れて行かれてた。父は失踪した。父も兄ちゃんから聞いていたんだろう。朝起きたらそこに姿は無かった。ボクは逃げられなかった。どうしても兄ちゃんの最期を見たかったから。
ボクは施設にはいることになった。楽しみだ。もう言いなりの父はいない。苦しそうに勉強する兄ちゃんもいない。あんな母はいない。兄ちゃんと比べて否定してくる母はいない。酒に溺れて殴って暴言を吐く母はいない。女が男の格好をすることを否定する母はいない。どうしよう。家族がいなくなったのに、兄ちゃんは死んで父は失踪して母は警察に連れて行かれたのに、どうしようもなく胸が高鳴る。
3/20/2026, 6:06:54 AM