YUYA

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「風の手紙」


頬を撫でるのは
遠くの丘を越えてきた風

それは 見知らぬ町の
パン屋の朝を知っていて
漁師の網を乾かす匂いを
そっと連れてくる

胸の奥の澱んだ空気も
ふわりと攫い
まだ見ぬ景色の方へと
背中を押す

風は声を持たないけれど
確かに何かを伝えてくる
――今、あなたは
歩き出す時ですよ、と。

8/10/2025, 7:36:07 AM