川柳えむ

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 綺麗な物が好きなその子は、宝箱いっぱいに、きらきらと輝く物を詰め込んでいました。
 磨いたコイン、桜色の貝殻、紅葉の葉っぱ、クリスマスのオーナメント、色ガラスの破片、花を閉じ込めたレジン……。
 たくさんたくさん詰めて、蓋が閉まらないくらいに。
 その大切な物がいっぱい溢れた宝箱を大事に大事に抱えて、嬉しそうに笑いながら駆け回っていたら、足がもつれて転んでしまいました。
 宝箱はひっくり返り、中身は零れて、遠くまでばらばらと散っていってしまいました。
 その子は悲しくなってたくさんの涙を流しました。
 そして、そのきらきら輝く宝物ときらきら輝く涙は、空に広がって星になり、星空を作りました。
 その子が好きだった綺麗な物は、人々を楽しませるみんなの宝物になりました。


『星が溢れる』

3/15/2024, 10:21:58 PM