初めて魔法を目の前にした時、まるで自由そのものを操っているかのような煌めきに感動を覚えた。
次に、魔法が使えない自分にとてつもない不自由さを感じた。
今、箒に乗り優雅に空をかける魔法使い達を地上から見上げている。
楽しげな声が上から一方的に降ってきて、下にいる自分の声は届かない。
自分の言葉を風に乗せて遠くまで届けるような、そんな些細な魔法でいいから自分も使えれば良いのに。
そうすれば風と戯れている魔法使い達に、彼に、少しでも近づけるのに。
ふと、彼と目が合ったかと思うとふわりと自分の前に降り立ってくる。
「なぁに羨ましそうな顔してんの?一緒に乗りたいんでしょ、後ろ乗せてやるから掴まれよ」
「……なんでわかったの。声、聞こえてないでしょ。」
「いや、あんな寂しそうなオーラダダ漏れで気づかないわけなくね?」
声は届けられずとも、視線かあるいは思いなんかは風に乗せて届けることができたらしい。
彼の肩越しに風をきって下界を見下ろす。彼はこんな景色を普段見ているのか。
彼が手を引いてくれるおかげで、同じ視点で魔法の世界を見れると思うと、魔法が使えないのも案外悪くないかもしれない。
【お題:風に乗って】
4/29/2026, 5:33:14 PM