hot eyes

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紫色の髪の男が目を開けるとそこは、何もないただ白い床と空間が広がっていた。

なんだここは?

男が辺りを見渡すと、一人の少年が立っていた。
「初めましてー何年ぶりでしょうかー」
その少年は軽くお辞儀をして近づいてきた。声の伸び方からして、面倒3割と好奇心5割と渋々2割といったところだろう。

「君は俺が小学生の時以来だから、何十年と時が経ってるのか。時間の流れって残酷だよね」

やれやれ、と肩をすくませる。
「玲人(れいと)には間違えちゃったけど、君が一番最初の創作者なんだよね。あとから気づいたよ。なんなら氷華(ひょうか)の前に君を含めて、既に四人いただなんてね...ミスだよミス」
申し訳ないねぇ、と謝ってくるがなんだかこの話は本題では無い気がする。

「...勘の良い君なら気づいてるよね。だって仕方ないだろ!?君の初期設定は紫の髪のクールな男としかなかったんだから!」

くわっ、と少年は食って掛かる。
「それに名前も洋風だったんだ。俺の話には和名が必須だからね。おっと、例外もいるがそれはそういう設定だからだよ。でも君は外国人じゃないでしょ?」

男はどこかで聞いたことのある喋り方だと気づいた。

もしかして...『    』?
「お、マジか。気づいたんだ...凄いね!流石クールな男!頭脳派って設定も追加しておこう」
『    』はここで何を?
「番人かつ代理かつ『    』をしてる。まぁ要はあの人からの通信手段ってとこだよ。今はどうでもいいけど君の和名まだ決まってないから、通り抜けは不可なんだ。すまん。今頑張って考えてるから待ってて」
和名ってどんな?
「んー、君の名前を当て字にすると月花になるからそれ関連でいくつもり。決まってないから変わるかもだけど」

そこまで言うと少年は近づいて男の肩を叩く。
「まぁ君の友達もまだだからその時は一緒に連れてくよ。なんなら馴染みのある葉瀬(ようせ)の近くに転生させてあげよう!」
なにやら一方的に話が進んでいくが、止める気力はなかった。

「今日はこのくらいにしておこうか。じゃあまたね。会える日を楽しみにしているよ、ルカ」

少年がそう言って手を振ると男の視界は段々と暗くなっていって、遂には意識そのものが閉じ込められたようだった。


お題 「物語の始まり」

4/19/2025, 3:19:30 AM