肌に触れる風が、冷たい。この季節ではまぁ、当たり前のことかもしれないけれど、今日の風はいつもよりも冷たい。温度が、明らかに違っていた。
凍らせてやる、とでも言いたげに、何度も何度も前髪を揺らし、服の隙間から芯まで冷やす。マフラーで口元を被っても尚、隠れきれずにいる目元や耳の温度が痛いくらいに下がっていて。我ながら馬鹿だな、と心の中で呟いた。
視界には、地平線。こんな、雪雲で濁った暗い海を、何故か寒い思いをして見に来ている。
何故、ここに来たくなったのか。それは自分でも分からなかった。ただの、気まぐれというやつだ。そして偶然、それがとてつもなく寒い日で、今にも雪が降りそうな天気の時だった。ただ、それだけ。
冬の海が好きだ。暑くて、キラキラと眩しい夏の海も好きだけれど、ひねくれた性格のせいか、季節外れのこの時期の方が綺麗だと自分の中で言い張って、毎年絶対にこの景色を眺めている。しかも今日はもっと綺麗になるはずだ。だって、これから『白』が増えていくのだから。海は青が似合うし、それが当たり前かもしれないけれど、白だって有り得ないほど似合う。それを、きっと知っている人は少数だろう。そうだと、良い。
1/8/2026, 8:13:52 AM