ストック

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Theme:どこにも書けないこと

書籍、新聞、ネットの記事、SNSのほんの些細な一言。
すべての文章は誰かに読まれるために存在している。
日記だって自分で再び読み返せるように、また、出来事や気持ちを忘れてしまわないように存在している。

だから、私は自分の罪をどこにも書くことはできない。

人に知られたくない。
思い返したくもない。
なかったことにしてしまいたい。

でも不思議なもので、私の罪を誰かに告白したいという気持ちがある。
この罪を無かったことにすることは出来ないこともわかっている。

だから、ここで告白しようと思う。
これを読んでいる顔も名前も知らない貴方に、私の懺悔を読んでほしい。

私の罪、それは『裏切り』だ。


私の両親は共働きで、小さな頃の面倒は祖父母がみてくれていた。
特に祖父は私のことを可愛がってくれ、何かすればその度に褒めてくれた。
幼い私は祖父に褒めてもらいたくて、本や新聞を読んだり自宅の植物や飼い犬の世話を手伝った。
今の動植物が好きな趣味嗜好や、文章への興味は祖父のお陰で培われたものだ。

そんな祖父が病気で倒れ、もう家に帰ることはできなくなってしまった。
最初こそ何度も見舞いに行っていたが、だんだんその頻度は下がっていった。
祖父の状態はだんだんと悪化し、余談を許さない状態になっていた。
それでも私は祖父の見舞いには行かなかった。

ある時、電話が入った。
祖父が危篤状態だと。
私は遠方におり急いで帰ったが、死に目に会うことはできなかった。

私に惜しみ無い愛情を注ぎ、たくさんのことを教えてくれた祖父。
それなのに私は何も返さずに、愛情を一方的に享受するだけだった。
与えられたものを返さずに、祖父を裏切ってしまった。

この罪は一生消えることもないし、償うことも出来ない。
そして、浅ましいことに、私は自分の薄情さを隠したいがために、この事は誰にも明かしたことはない。
今後もずっと隠し続けるのだろう。

私の長々とした懺悔を最後まで読んでくれた貴方に感謝したい。
ありがとう。

2/8/2024, 9:39:23 AM