NoName

Open App

「優しい嘘」

「嘘つきは泥棒の始まり」って言葉あるじゃん。
あれ、本当にそうなのかなって思うんだよね。
だってさ、世の中正論ばっかり言ってたら周りから人が居なくなるわけで。
誰しもが嘘をついて、人付き合いを頑張ってるんだよ。
そんなん全員泥棒だよ。
って思う。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「優しい嘘」私は嫌い。
嘘をつくのは構わないよ。でも優しい嘘ってのはあとから心に傷がつく。
私はそれが嘘だとわかってしまうから余計に。
優しい嘘をつくときは、だいたい相手が何か良くないとき
……死ぬ間際に嘘ついてどうすんのさ。


「大丈夫なの?」
私は病院にいた。
親友が倒れたからだ。
「ぜーんぜん!疲労だってよ!」
口ではそう言ってても、顔色が良くない。
「本当に?顔色悪いよ。さっき先生になんて言われたの」
多分大丈夫じゃないんだろうな。
そんな気がする。
「大丈夫だって!梨花は心配性すぎるんだよ〜」
「…そうかな」
そういうことじゃない。
「ま、とりあえず今日は帰るわ!また明日来るよ」
「ばいばい!ありがと!」
私は病室からでて、歩いていたとき。彼女の病室に入ろうとする医者と看護師。
彼らから聞こえてきた会話。
「先生、まひろさんの容態は」
「あんまり良くないねぇ…」
「…やはり、もって1ヶ月ですか」
「そうだね…彼女は頑張ったと思うよ」

家に帰ってから、私はずっと放心状態だった。
まひろが余命1ヶ月?
ありえない。信じたくない。
親友を失いたくない。死なないでほしい。
そう思うのは、自分勝手なのかな?

コンコン
「どーぞー」
あれから毎日、私はまひろの病室を訪れている。
相変わらず彼女は元気だと言い張っているけれど、顔色は日に日に悪くなっている。
「やっほ、来たよ」
「おー梨花!昨日ぶり!」
でも今日は、一つ聞きに来たんだ。
「ねぇ、まひろ。私に、隠してることあるでしょ」
「え?」
まひろは驚いた顔を私に向けた。
「隠さないで、答えて」
「……」
まひろは押し黙った。
沈黙が続いて、やがて口を開いた彼女が放ったのは。
「無いよ」
あー、もうだめだ。
涙をこらえきれない。
「梨花に話すことはないよ」
「……っ」
「もーー泣かないでよぉ
でも、一つ話すことはあるよ」
「…何」
「こんな私と親友になってくれてありがとう」

そうして、まひろは天国へと旅立った。
死ぬ間際まで、まひろは私に不調のことは言わなかった。
彼女は私に「優しい嘘」をついていた。
でもそれは耐えれることじゃない。
だから私は優しい嘘が嫌いだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


1/24/2025, 1:07:22 PM