惟新の角部屋

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夢の中で彼は、旅に出る夢を見たんだって。
思わず僕は、あいつを引き留めた。

朝の木漏れ日に紛れて、彼は歩き出す。
大学のキャンパスの銀杏並木は、既に落葉しようとしていた。冬の準備だろうか。
人をかき分けかき分け、あいつの名を呼ぶ。木枯らしに消えて、聞こえないらしい。

それでも追いかける。心配だから。
今日はそういえばオープンキャンパスだったか、学ラン姿の高校生やら、妙に着飾った教育ママさんやらを見ながら、呼び続ける。そして、あいつが横断歩道にさしかかったとき、声が届いたのか、こちらを振り返った。だからなのだ。その夢は、正夢になる。

そんな自分の、自責心に、後悔の念に、
落ちていく、おちていく。

11/24/2023, 7:43:27 AM