みりん

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昨日の夜用意した、
住所を書いた紙を財布に入れて、
私は家を出る。

この期に及んで鍵を閉めていく私に、
私は無性に腹が立った。

いつもとは違う方向の電車に乗るのは、
案外緊張するし、楽しい。

ICカードを使わずに、
今日くらいは切符を買った。

特別な日のように振る舞う私に、
私は無性に腹が立った。

いつもはスーツを着て、
人のごったがえす駅を早歩きで歩いていたから、
人気のない駅についた途端に孤独が身に沁みた。

ラフな格好で、リュックサックなんか持ったりして、
人から見れば観光客のようだろうし、
今の気分はそのような感じだった。

木の看板にかかれた、少し細長い文字に従って、
私は山道に入った。

道には、かろうじて車の跡があったが、
ガードレールなどはなかった。

そのため私は、昨日の夜に見た夢のように、
脇道にそれて、草を踏み倒して進んだ。

考え事をしながら歩いていたからか、
それとも何も考えていなかったからか、
気づけばだいぶ遠くまできてしまったようだった。

ここでいいか、と
背負ったリュックサックを静かにおろす。

ああ、私はこの静かなる森へ
なんてことをしてしまうんだろう、と思う。

しかし事は予定通りに、
そう、昨日の夜に見た夢のように、
静かに進んでいった。


『静かなる森へ』




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5/10/2025, 10:32:03 AM