「らとはわたしのものなの」
そう言って光の入ってない目で私を見る主様。
いつもより怖かった。
でも、忘れられないくらい美しかった。
もう一度みたい。
忘れられない、いつまでも。
どれだけ時が経っても。
ふと、瞼の裏に浮かぶ。
「絶対に許さないから。」
その言葉と暗い瞳。
真っ黒に染まった瞳は黒曜石のように美しかった。
そんな主様を見てると息が詰まって、
鼓動が早くなるのを感じた。
あんな冷ややかな目で見るなんて。
いつもの主様の面影がない。
「はい、あるじさま。」
なんとか返事をしたら、
主様は私の首に首輪を付けた。
「もう、どこにも行かないでね。」
あぁ。やっぱり主様は暖かい。
でも瞳に光はない。
少し息の浅くなった私と、優しく私を見る主様。
「だいすきだよ、らと。」
あの瞳を忘れられない、ずっと。
5/9/2024, 12:03:46 PM