#1件のLINE
私しかいない部屋に響く通知音。
スマホを確認すると、先輩からの返信だった。
それだけでもすごく元気が出た。
だって好きだから。
でも。。。先輩には気になってる人がいる。
もうすぐ告白するんだって。
好きな人いるなら…私と関わらないでよ。
これ以上好きになったらもうどうしようもないじゃん。
話しかけてこないでほしいのに、それはそれで嫌だと思ってしまう。
私の、先輩への好きな気持ちが高まった返信。
でも、私の恋が終わった返信。
嬉しくて悲しくて、寂しかった
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「俺さ〜近々その子に告白するんよね〜。緊張す
るww」
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#夏
「あっつー…。」
ただ一言だけ、そう呟いた
アイスを口に頬張って見上げる空
「日焼け止め塗らなきゃな」
それから私は自転車に乗って家路を急いだ。
#ここではないどこか
この場所じゃなくて、
違う場所、遠い場所でなら
私も幸せに生きれるかな
気づかなければよかったのにな…
#好きな本
机に置いてあったのはビリビリに破られた私の大好きな本。
「なんで…。」
口から出てきたのはその一言だけ。
破られていたのはちょうど、私の一番好きなシーンが書かれてあるページだった。
転校生の男の子とちょっぴりドジっ子な女の子が両思いになって手をつなぐシーン。
私もこんなふうになったりするのかな…
なんて考えながら読んだのを覚えている。
でも違うんだ…。
私…こんなことされてる時点で…
“好きな人と手を繋ぐ”ことなんてできないんだ…
私の大好きな本を破ったのは
私がこの本よりも愛していた人なのだから。
#あじさい
「もういい!話したくない!」
教室に響いた私の声
教室を飛び出して帰り道をとぼとぼと歩く
ふと道の横にある花壇を見ると
不思議なくらいに綺麗なブルーのあじさいが咲いていた
でも一輪だけ
他の花はまだ蕾のままだった
「早く咲いたらいいね」
私はまた歩き出した