「お待たせしました、味噌ラーメンです」
「うっまそー！いただきます♡」

熱々のラーメンも店員さんの笑顔も
曇りから晴れ

「？」
「あ、いえ、すみません……！
ウチのラーメン美味しそうに食べて下さるのが
いつも嬉しくて」

眼鏡からコンタクトに変えた
花冷えの日

「いつも？」
「あ、その、好きだなって」

視界が開けて、鮮明になって、恋が見えるなんてね


#曇り

「アンタのこと好き！」
「よっしゃ！言わせたぞ！」
「はぁ！？ なんだとぉー！！」

あの時の、笑顔、空、匂い、季節、体温
全部ひっくるめて
『君と見た景色』だった

写真アルバムには残ってないけど
記憶の中の一枚だ


#君と見た景色

最後の一文を書き終えて
朝焼けに消える星を見届ける

そして今日もまた
初まる僕らの感情にペンを走らせる


#星
#終わり、また初まる、

「恋はしないと言ったのに」
「それでも恋してる」

誰かしら？

わたしの愛を
跡形もなく盗んでいった怪盗は

「きみは僕のものだよ」

貴方は強かに微笑うと
満月を憂いた


#誰かしら？

クラクションを鳴らした

もう一度だけ
振り向いてくれたらいいなって

そうしたら
何かが変わったかなって

今更だけど
思ったんだよ……

信号は赤から青
ギュッとハンドルを握って、アクセルを踏む

彼女は見知らぬ誰かの隣で
幸せそうに笑っていた


#すれ違い