通り雨の偶然
思いがけない相合傘に彼は笑った

「ははっ。男同士が傘一つって情緒ねぇよな」

木の葉から落ちる雫
傘から溢れる雫
彼の前髪からひと雫

「まぁ……そうだね……」

ふと泣きそうになって
目尻に留まる雫

ぽと…ん
どこに落ちたらいいやら

『恋の雫』は

通り雨が止むのを
恐れている


#雫

「何もいらない。あなたが傍にいるなら」

妻は確かに
そう言ったはずなのに

なんでオレは
バーゲンセールの整理券の列に
真夜中からずっと並んでいるのだろう？

「肌寒いですね…」
「ええ…」

隣の旦那さんも同じだって言うし


#何もいらない

もしも未来『を』見れるなら…？
もしも未来『が』見れるなら…では？

凝り固まって
考えてしまったら

「物語が出て来ねぇぞー！！」

(執筆おやすみー)


#もしも未来を見れるなら

無色の世界にぽとんと
落ちる色

「本気で好きなんだけど、あんたのこと」
「言うなよ。冗談……にしておけばいいじゃん」
「出来ない」

波紋となって広がるそれは
曖昧に滲んで
無色の世界に色を付けていく


#無色の世界

雨上がりの水溜りは…

「中止になった花見は、急きょ決行だ！」
「えぇー！？」

いいでしょ？
桜もまだ
花盛りなんだから


#桜散る