深夜0時
鳥も寝静まるミッドナイトブルーの空は無風
「キスしてもいいでしょ?」
「……うん」
頭ではイケナイと解ってるのに
心は止まらない愛を抱く
そうやって恋に溺れる夜は
なんて愚か
#ミッドナイト
会話はいつも笑顔のなか
「手伝ってもらってごめんねー。でも助かるよ!」
「暇だったし」
職員室まで
一緒にプリントの束を運びながら
相手の好意が
自分にだけ向いていることに安心する
けれど
「そういえば、もうすぐバレンタインかぁ」
目線を逸らしての話題に
「あー…そうだね」
不安ばかりが募るのは
どうしてかなぁ
#安心と不安
「パパー! 太陽をバックに写真を撮ってね
スーパーヒーローは光を背負うのが格好いいんだっ」
「はいはい」
「ポーズは三通りあるからね!」
「はいはい」
逆光は"子供らしさ"を見事に覆い隠して
ヒーローを演出したが
「……パパ、写真撮るのも下手だね
そんなだからママにも嫌われちゃうんだよ」
そこに居たのは『ダークヒーロー』
写真フォルダを覗きながら
子供は厳しく容赦ない必殺技をキメる
#逆光
月の綺麗な昨夜のこと
告白されてOKを出したばかりなのに
『きみにフラれる夢を見たんだ
夢か現実か……わからなくなってしまってね』
朝一番、電話をしてきた彼
「大好きだよ」
電話越しで笑い
またひとつ愛を重ねる
#こんな夢を見た
人は生まれた瞬間からホットスタート
生き急ぐばかりだ
「タイムマシンがあったら?」
そうだね
過去に行くにしても、未来に行くにしても
"死"から逃れるための
道具にするかもしれないね
-2nd story-
「うおー!タイムマシンがほしー!
失恋を亡きものにしてぇぇぇよぉぉぉー!」
友人がうざいほど吠えている
負け犬の遠吠え?
まぁ、何にしても…
「タイムマシンがあったらぶっ壊す」
「はぁ!? てめぇはトモダチの絶望を無視すんのか?」
友人は信じられないとばかりに目を丸くするが
「お前の一喜一憂を傍で眺めているのが俺の幸せ?」
現在より尊いものはない
#タイムマシン