まぽわぽん

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11/14/2023, 11:16:56 AM

秋風のシラッと体温を奪っていく冷たさに
負けてなるものか!と
ストールを解けないようにしっかりと巻いた

「ごめん…気持ちは嬉しいけれど、付き合えない」

秋風に吹かれ
木から枯れ葉がぽとぽと落とされた…

気持ちまで落とされてなるものか!と
涙が溢れ落ちないように唇を噛む

「わかった」

潔く、身も心も冬を迎えよう


#秋風

11/13/2023, 11:10:44 AM

「また会いましょう」

合コンの、別れ際の常套句だと思ってた
当然『また』は絶対にあり得ない

今夜は何故か3歩歩いて踵を返し
2歩戻って来た男がいた

「または有り得ないと思う。
俺、合コンは付き合いだし嫌いなんだ」

なんて正直なひと
言わなくてもいいのにな〜と内心で呟く

「今から少しだけ一緒に歩かない?
ごめん、きみのこと好きみたいなんだ」

アルコールの所為じゃ…ない?
なんて正直なひと
顔を赤くして、恥ずかしそうに俯いていた


#また会いましょう

11/12/2023, 11:27:05 AM

『母さん楽しみにしてて。
今さ、父さんと一緒に料理してるんだよ』

我が家の男達は
決して"料理男子"というわけでは無い
正しく言えば
"料理をしたことのない男子"だ

冷蔵庫の中身を見てレシピを決めたのだろうか?
包丁は大丈夫?
火の調整は問題ない?

スマホを耳にしながら
訊きたいことを我慢してスリルに身を震わせた


#スリル

11/11/2023, 11:18:05 AM

飛べない翼を持つペンギンは
空に憧れを持つことなんて
生まれた時からないだろうなって思った

それと同じで

恋を知らない俺も
恋に憧れを持つことなんて無いと思っていた

一眼レフのカメラを構えて
ペンギンにシャッターを押し続ける
彼女の姿を見る迄は

ペンギン達の世話をしながら
今日もそっと溜息を吐く


-2nd story-


天使は自らの翼を引きちぎった
飛び散る純白の羽根に血を滲ませて

「神様になんて仕えるのやーめた。
あんたに仕えることにする」

痛みばっかり知るような人間に寄り添うには
飛べない翼くらいが丁度いい


#飛べない翼

11/10/2023, 10:49:38 AM

ススキと満月を独り占めできる場所が
都会にもあったらいいのにね

「ほら見て〜!お月見団子、買ってきたよっ」

風に揺れる金色の穂みたいに
輝く笑顔が揺れて
まぁそれは
僕の独り占めなんだけれどさ


#ススキ

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