鋭い眼差しは嘘を見破る眼差しだ
言い逃れはできない
「お前、俺のこと好きなんだろ?」
「…。男同士でしていい会話じゃないと思うけどね」
「俺は好きだ」
大通りの交差点、信号は青
通り過ぎる歩行者は驚愕の眼差しを向けていく
居た堪れなくなって立ち止まった
「そこらへんはさ、鈍いと思っててくれない?」
#鋭い眼差し
頂上に向かって、僕達の乗った観覧車は
ゆっくりゆっくりと動く
「天にも昇る心地ってこーゆーの?
2人きりの密室だし…期待して、いいのかな。ジンクス」
彼女は真っ赤な顔をして
高く高く空に近づいていく観覧車に
ときめいている
「天にも昇る心地…うん、確かに…そうだよね」
閉所恐怖症に高所恐怖症の僕は
天国に近づくのではないかと
気分は真っ逆さまに落ちていく心地だった
#高く高く
「おぉ!バニラアイスぅぅ♡」
ストレスが溜まると
食べたくなるのは子供の頃から好きだった
バニラアイス
「今日は食べたいだろうな〜て思ってさ!て言うか、
お前が子供のように笑顔になるのが好き!」
旦那さんが一緒に笑ってくれるから
実は、ストレスがなくても
食べたくなるんだよね
#子供のように
最初はグー! ジャーンケンポン!
出したチョキは"負け"
「負けた奴は、即行で罰ゲームだぜ?」
「わ、わかってるよ!」
罰ゲームは、クラスで一番かわいい山川さんに
告ること
こっ酷く振られることが罰なんだ
「山川さん、俺、山川さんのことが好きなんだ」
放課後の教室
背後のドアからは悪友達がニヤニヤと覗いていた
「え?…あの、嬉しい…です」
「え…!?」
「西野くん?」
「ご、ごめん!嘘だよ、嘘だからっ」
窓から夕焼けの色が差し込んで
抉る様に、オレンジ色が胸に刺さった…
その色は痛みで"後悔"
何年経っても疼いて、ズキズキする
#放課後
引っ越ししたばかりの新居
ワンルームなのに贅沢
大きな窓からは陽射しが溢れるように
差し込んで来ていた
ついでに
両隣のベランダからの視線も容赦なく?
「まあ、隣人は気になるよなぁ」
買い忘れたカーテンの代わりに新聞紙を貼る
新居のイメージが一転したところで
両隣の視線も飽きたようだ
「はーい!みんな元気かい?今夜もご視聴サンキュ!」
実は俺、人気が急上昇中のYouTuberなんだけど
こっちの視線は飽きないでね
#カーテン