お互いに初デート
前日までは準備を、当日は気配りを、
バッチリと脳内で繰り返し
予習は完璧な筈だった
「「なんか、ごめんね」」
遊園地に到着する寸前までは快晴
到着した途端にゲリラ豪雨
雨に佇みながら…
雨男に雨女は、2人同時に頭を下げた
#雨に佇む
子供よ
何故そんなにも大きくなるのが早いんだ?
毎日クタクタになるまで残業していたツケかよ…
「何だよ、急に帰って来たら説教か!?ばか親父!」
「言葉遣いだけなんとかしろって言ってんだ」
娘をぎゅぅぅぅと抱き締めたその日が
1ページ目
消しゴムで消されるように
愛しい時間があっと言う間に消されるというのなら
留めて置きたいと思った
#私の日記帳
スマホをタップしながら文章を考える
きっと
同じ時間帯に同じ様に
"書く習慣"で
お題に四苦八苦している作家さんが
いるのだろうなぁと想うと
スマホを眺める時間は向かい合わせ
より楽しくなるものだね
#向かい合わせ
オムライスにしようかピザにしようか
かなーり悩んだ末に注文した"オムライス"
なのに、何故だろう
隣でチーズをトロッとさせながら
トマトとオリーブ、生ハムを乗せたピザを
「うまぁ♡」と幸せそうに食べる彼氏を眺めて
膝に置いた拳が震えた…
#やるせない気持ち
休日を、休日として過ごした先日
目的もなく電車に乗った
毎日繰り返される毎日に嫌気が差したのか
辿り着いた先は海
開けた青と眩しい太陽を眺めた
「それで?憂さは晴れたのかい?」
友人に訊かれて首を横を振る
「いや…。慣れない場所も辛いなぁって」
砂浜に打ち寄せる波は
繰り返される毎日に似ていて
パソコンのブルーライトに慣れた目には
太陽は眩し過ぎた
「結局、自分のライフワークが一番心地良いことに気付いてしまった」
寂しいヤツだなぁと友人は苦笑いする
ポンポンッ
労う様に肩を叩かれた
-2nd story-
海へ…
わたしの"水着"も"恥じらい"も漂流する
「どっちに流されたかわかる!?」
「いえ…」
その時、晒される素肌と胸を必死に隠しながら
攣ってしまった足の痛みにも我慢していた
「掴まって。全部、背中で助けるから」
察して泳いで来た初対面の男の子
その優しさに
流されてしまった全てを救助してもらった
#海へ