手を取り合っていたのか
それとも、手を引っ張り合っていたのか
どちらにせよ、
君が僕にとって必要不可欠だったことは間違いない。

「そう、結婚するのか。おめでとう」

泣きそうになる気持ちを押し込めながら
男手ひとつで育てた
たった一人の娘に…祝辞を送った。

親友だけど好敵手。
あいつよりルックスも勉強もスポーツも性格も
優劣を比べたら
俺の方が優れていたと思う。

でも、違うんだ

初めて好きになった女の子は
あいつの全てに恋をして
最初から『好き』の優劣を決めていた。

#優越感、劣等感

これまでずっと好きだった君を
これからもずっと愛します。

合鍵を渡して、
優しくハグをした。

『母さん、明日は好きな子と飯食いに行くって言っただろ？空気読んでよ！』

あ、誤送信だ！
既読スルー…にならないわたしの気持ちは
どうしたらいいのだろう。
明日はメイクも洋服も頑張らないと。

#1件のLINE

目が覚めると…
職場で最大級に苦手としている上司の部屋に
寝転がされているという
言わば『異世界』の中にいた。

服はきちんと着ているぞ！
この男、さては勇者だな！？

身構えるわたしの横で
ネクタイだけ緩めて寝息を立てる上司。

時刻は午前様。
傍にはミネラルウォーターと胃薬…。
そっか、そうだった。
飲み会で、酔い潰れてしまって申し訳ありません。汗