春眠あくび

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10/27/2023, 12:34:14 AM

「いってらっしゃい」
「お帰りなさい」

その言葉のあたたかさに気づいたのは、
家を出て1週間たった頃だった。

#愛言葉

10/25/2023, 2:00:57 PM

君の笑顔が好きだった。

新学期。隣の席が君だった。知らない人ばかりで馴染めなかった自分にも声をかけてくれた、優しい君。気さくで授業の合間に話すようになってから、いつの間にか好きになってしまった。気づきたくなかった。

運動会。リレー最後の走者が1位で走り抜け、歓喜のあまりハイタッチをした瞬間、自分の気持ちも手から君に伝わりそうで少し怖かったのを覚えている。大口で笑う君に、自分は応えられただろうか?

文化祭。1日暇になりそうだった自分に「一緒に回ろう」なんて言って2人で回った教室。君はいろんな人から話しかけられて、仲良さげに笑い合う。あぁ、好きだ。けど、嫌い。だけど、そんな事を思ってしまう自分が1番嫌い。後夜祭の前、耐えられなくなって「用事あるから帰る」なんて嘘を吐いて逃げてしまった。次の日謝った。

季節は巡り、進みゆく時の流れは無常にも自分を待ってくれない。止まってくれたなら、ずっとこのままだったらどんなに幸せか。でも、終わりは来る。

卒業式。ついに自分は君に打ち明けることはしなかった。最後の最後で関係を崩すのが怖かった。そうなるくらいなら、綺麗な思い出として記憶の中に君ごと閉じ込めたかった。臆病者。そうかもしれないが、それで満足だった。そんな心を知らない君は、いつも通り手を振ってくる。これで最後、学校とも最後。卒業後は進路が違うからもう会う事も無い。式が終わり、涙ぐみながら笑う君は今までで1番綺麗だと思った。しっかりと記憶に刻み込む。ひとしきり会話して別れる前、君は自分にこう言った。

「最高の友達だった。また一緒に遊ぼう。」

その後どう帰ったか覚えて無いが、次の日、目が腫れて妹からかなり笑われたのは忘れられない。


#友達