【たそがれ】
誰かの期待に応えるため
誰にも見つけられないように
ずっと奥で隠した僕が
道端の小石蹴って誰そ彼に少し顔を出す
小石と一緒に転がっていく音がただ鳴り響いて
やっぱり周りに誰も居ないことを知らしめる
この少しの間だけ水面に出て呼吸が出来るけど
帰り路の最中にまた影へと押し込んで誰かになる
誰にも理解されないだろうし
誰にも気づかれない
この時間が過ぎたらまた皆んなの望む姿にならなきゃ
伸びてく影に追いつかれないように急ぐふりをする
--きみに出会う前の話
2024-10-01
【きっと明日も】
続くはずなんてないと思ってた
だって今まで何か続いた試しが無かったから
全部誰かに言われて何かを成したふりをして
ずっとずっと操り人形をしていた僕が
何かを続けられるはずがないのだ
きみと出会った日も心の隅でそんな風に思っていた
そしたらきみの歌がこびりついて
次の日起きた瞬間まで寄り添ってくれるなんて
そんなこと思っても見ないじゃないか
でもきっと昨日の出会いが衝撃的すぎたから
そのせいだなんて思ってまた次の日を迎えても
きみは僕を離してくれなかった
そんな問答を何日も続けて
結局根負けしたのは僕の方
ほら、今日だっていっぱいきみの歌声を聴いてしまった
きっと明日も僕のそばに居てくれるんだろう
2024-09-30
【静寂に包まれた部屋】
聴こえてた音が途切れて
部屋に耳が痛くなるほどの部静寂が訪れる
きみの声を聴いていないと
狂ってしまいそうになる脳みそは
そんな状況を打破しようと
脳内できみを探し出す
だからきみを見つけるのがとても上手くなって
聴こえてなくても平気になった
だけどやっぱり物足りないから
どうかまた声を聴かせて
2024-09-29
【別れ際に】
いつも通りの澄ました顔で
なんでもないように歌っていたのに
そんな最後の最後で涙ぐむなんて聞いてないよ
こっちまで泣いてしまうじゃないか
これが今生の別れではないこともよくわかっているけど
またきみにこうやって会えるのは
ずっと先であるように思えてくらくらする
ああ、でもきみがそうやって泣いてくれるのなら
また来年会った時には
更に成長した姿を見せられるように頑張るから
また、どうか見守ってて
2024-09-28
【通り雨】
雨音に混ざって誰かの声がする
みんな傘を被って表情を消して
誰もが誰かじゃなくなるから
声の主人は見つからない
だけど僕には絶対に聴こえたし
そのおかげで傘から顔を出すきっかけをもらった
気がつけば雨は上がっていて
声を聴こえなくなったけど
頭の中は素敵な音で溢れていた
2024-09-28