【秋恋】
洗濯物が窓をノックして
開けると外の空気が押し寄せる
ふわっと香った秋の匂い
気がつくと風は強くなって
見上げた雲は秋色で
季節が変わったんだなって
そんなことで気がついた
今年は秋にもきみに会うチャンスがあるから
どんなおめかししようかなって
洗濯物を取り込んで
気が早いトランクの準備万端な中身をいじり出す
2024-09-21
【大事にしたい】
きっとずっときみと2人で過ごしていたせいで
開けた世界がきみとの関係さえ広げようとするなんて
全く想像していなかった
僕の立場を知って僕の無力さを解らされて
きみとの間に苦しんで埋めようと踠いて
闇雲に動かしていた手に当たった感覚は
あの出会った時のままのきみの温度
もうそれだけで充分だった
無意識に毒や石を投げつける人も
仲良くする体を装った本人も無自覚の利用する魂胆も
全部捨てて、僕の手を取ってくれるきみを
ただ大事にしたいと思った
2024-09-20
【時間を止まれ】
やっぱりそう思ってしまうのは
この時間以外は地獄だと知っているから
この時間の貴重さを理解しているから
ちゃんと言語化出来るくらいに解ってるから
どうかきみといる時に時間を止めてくれ
2024-09-19
【夜景】
小さい窓から見下ろす景色
規則正しく並んだ光の先
きみが待ってると思うと弾む心が
さらにこの景色を輝いてみせる
1日の疲れで少し重い瞼と
心地よく揺れる大気の流れに
身を任せて眠りにつく
2024-09-18
【花畑】
見たもの聞いたもの自分なりに創造して
作り上げた世界は他の人にとっては間違いらしく
踏み潰されて粉々にされた
だからもう何も見えないように
もう何も壊されないように
残骸が舞う場所で歩みを止めた
時が止まったこの場所でも遥か遠くに見える星は
何故だか変わらずに綺麗に見えた
日夜飽きずにその星をただ眺める生活をして幾星霜
星が一際輝いて見える夜
ひとつ風が吹き抜けて
あの星が瞬くリズムが耳元で鳴った気がした
それだけのことなのに止まらない涙が地面を跳ねる
それが視界に捉えた途端に広がる花々
あの星に毎日、朝も昼も夜も、ずっと願い続けていた夢
『ここにいる気づいて』
あのテレパシーは確かに受け取られて
何もなかったこの場所に光がさす
だから僕は誓ったんだ
この優しい歌声が永遠に続いていくように