【空が泣く】
一粒僕に当たって弾けた
その瞬間にわあっと広がる雨
普段探し物を探すようにずっと下げていた視界
幾年かぶりに頭を上げた
忘れていたわけじゃないけど
ずっと当たり前にいてくれる空が映る
そこで初めて首が痛いことに気がついた
ここまで探した探し物は見つからないし
下げていた頭が悲鳴を上げるように首を鳴らす
きっとそのことに気づかせてくれる為に
雨を降らして教えてくれたのかも
2024-09-16
【君からのLINE】
震えたiPhoneに光画面
確認して高鳴る気持ち
新しく知るきみの情報に
想いが積もって
また君に会いたくなる
2024-09-15
【命が燃え尽きるまで】
既に前から後ろから押し潰されて
ぺちゃんこになった僕に
命を感じる人の方が少ないのではないかと思うほど
僕自身で鏡を見ても気づけるのに誰も彼も知らん顔
この姿に慣れてしまい元の姿もわからないのに
その声は僕を見つけてくれて
僕の輪郭を探し方も教えてくれた
もう指を咥えて見てるだけじゃ
きみと対等に居られないから
創っていないと壊れる身体になってしまっても
命が燃え尽きるきみと共に
2024-09-14
【夜明け前】
瞼はとても眠たがっているのに
頭の中は冴え切っていて眠りを拒む
大人が隠したカーテンの隙間から覗き見た夜が
広大で優しいなんて知らなかった
静まり返った街を街灯が照らして
きっとこんな景色は僕しか知らないんだ
空に浮かんだ宝石を集めて
自分の影と隠れんぼをして
世界で”1人”を満喫したのも束の間に
白んでいく空がユメのような夜の終わりを告げる
明日もまたここで遊ぼうね
そう言ってやっと僕は瞼を閉じた
2024-09-13
【本気の恋】
高い分厚い壁を四方に囲んで
聞こえる大きな声を遮断した
そこは真っ暗だったけど
作られた白い部屋よりよっぽど良かった
誰も居ないし何も見えないことで
やっと一息つくことができた
僕の小さな手ではやはり欠陥があったのか
ポロポロと崩れ出した壁の隙間から
作られた光と共に怒鳴り声が乗り込んでくる
ああ、また無にならなければならないのか
いや、暗闇に閉じこもった期間に
何かしたわけではないのだが
棘のある音に触れない様に
棘の凹みに届く様に言葉を選んで息を殺す
全て諦めて暗闇から出ようとすると
耳を塞ぐ聞いたことのない音
それがきみとの出会いだった
外に出た後も見向きもしない僕に
優しく強く語りかける音
それは僕が探してきた言葉とホンモノの偶像
きみに心臓を掴まれて
きみの声に合わせて心音が鳴るようにされてから
僕はきみしか見えない身体になってしまった
2024-09-12