管理された畑に植えられて
いつも元気でいられる暖かさ
虫がついてもすぐ剥がされる
ふかふかの土は栄養いっぱい
充分な水を受けて実をつける
幸せ?不自由?
/ 愛情
わけもわからず手をのばし
心のままにやってみる
湧き上がる疑問を楽しみながら
逃げていく熱を閉じ込める
/ 微熱
肌に組み込まれた
太陽電池を充電する
何かと消費するので
毎日の充電が必要
雨の日は休みましょう
/ 太陽の下で
好きではない色のセーターを買った。
私には極度に苦手な色がある。
それは母の好きな色で、母はいつもその色だった。
いつもどこかにその色がある、そんなかわいいものではなくて、どこもかしこもその色なのだ。
洋服、鞄、宝飾品はもちろんのこと、爪も目の上も、果ては髪までその色になった。
贈り物を考えるのはとても簡単だ。その色が、薄くても濃くてもその色が入っていればそれでいい。
そして母自身も可能な限りその色を買う。
恐怖の参観日。あるのは濃淡の違うその色ばかり。
どれだけ必死に選んでみても、結局母はその色の人になる。逃れられない。
その色を見るとゾワゾワとした不快感に襲われるようになっていた。
自分の関わるものにその色を入れたくない。絵にすら使いたくなかった。
母とは対称に、その色だけを排除した。
私が大人になっても、母は変わらずその色だった。
それが近年変化を見せた。何かを買うときに、母はその色を選ばなかった。
何故か。その色ばかりなのが少しいやになったと言う。母のその色の許容量が、ようやく満ちてきた。
それから母は他の色も選ぶようになった。
あの色を選ぶこともあるが、いつもどこかにあの色があるくらいの、かわいいものになってきた。
寒くなり、私はセーターを買いに行く。
色違いの三色の中に、淡いあの色があった。それがとても優しい色に思えた。
長年培った抵抗感を拭うように試着室を行ったり来たりして、遂にレジへ向かう。
商品を手渡すとき お揃いですねと朗らかに言われて、相手が同じセーターを着ていることに気がついた。
あの色が、ともに向けられた笑顔を大きく見せた。
今でも好きな色とは言えないけれど、このセーターを着ることは好きだと言える。これくらいでいいんだと思う。
/ セーター
流れに乗って
時には流されて
進んできた
戻ることは出来ず
脇に留まっても
押し出される
進んできた 今
底がなくなり
落ちていく
轟々と音をたて
飛沫をあげながら
落ちていく
/ 落ちていく