誰にも言えない秘密、
誰しもが1人はかかえてるとおもう。
だから私はそれに対して「教えてよ」なんて言うこと
はない。
誰にも言えない、すなわち教えたくないのだと思うか
ら。
相手から言いたいと思える日まで
ずっとまっておくのも、大切だと思う。
それが、友達だと思うから。
友達の秘密、家族の秘密、そして自分の秘密。
人によっては、自分の本当の秘密がわからない人も
いると思う。
秘密ってそういうものだから。
誰にも言えないし、
自分が本当にこうだと認めたくないものだから。
だから私は聞かないし言わない。
“秘密”
あなたにはありますか?
(題・誰にも言えない秘密)
段々と押し寄せてくる部屋で集中しろって言われても
できないらしい。
結局はみんなリスクを考えるんだね。
なんでテストしてる時に
合格点いかなければどうしようって思うんだろう
まだやってる最中なのに。
そんなこと考えてる暇に3点は上がるはずなのに。
人が合理的に動くことなんて無理なのかな、
感情論だけでここまで生きてきた
そして私もいま、自分のやりたいという感情で
この文を書いている。
私の部屋は、みんなに汚いって言われるけど
私はここが心地いい。
汚い部屋が好きなんじゃなくて
物で溢れてると安心する。
どうしてだろう。
部屋自体は広いのに、物で溢れかえっているから狭く
感じる。
これもまた、一種の感情。
狭い部屋がおちつきます。
(題・狭い部屋)
あのコがきらい。
私のあの子を取ったから
もしも夢が覚めなければ
どれだけいいことか。
あの子とずっと一緒に
ずっとずっと一緒にいられたら
どれだけいいことか。
でもそれは叶わない
あの子は片耳ピアス開けてないもの。
私には空いてる。
みんなおかしいっていうけど
おかしいのはあなたたちの方よ
性別が違うのに好きになれるなんて
気持ち悪い。
あの子は性別が違う人しか好きになれないんだって
あぁ、あぁ、
『気持ち悪い。』
私も、あの子も、あのコも、
みんなみんな
海月のように跡形もなく消えて仕舞えばいいのに
(題・失恋)
『ハルのキセキ』
みんなと違う意見を出すのが苦手だ。
大きい声を出すのが苦手だ。
発表が苦手だ。
目立つことが苦手だ。
私はずっと“苦手”から逃げてきた。
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桜の木が満開に咲く季節。
そう、「新学期」
私は中学3年生になった。
私の住んでいるところは、都会とはかけ離れている
毎日の日課は、近所に住んでいる佳代子(かよこ)さ
んのいろんな人の噂話を聞くこと。
結構な頻度で、私の知っている名前も出てくるから
きょうは誰かな、というワクワクを胸に留めて
佳代子さんがいつもいる場所へ少し寄り道をする。
その噂が本当かわからないし、本人に聞く勇気もな
いから結局は「噂」で終わってしまうけど……。
佳代子さんは人あたりもよくて、みんなから人気の
おばあさんだ。
小さい子供にお菓子をあげたり、佳代子さんと時々
散歩をすると通りすがりの人に挨拶されるほど顔が広
い。
佳代子さんは、私のお母さんと仲が良くて
小さい頃なんて毎日佳代子さんの家に遊びに行って
た。
内気な私は小学校の時に「友達」と呼べる人も少な
かったから、唯一の「親友」だった。
そんな私でも、もう1人の親友ができた
私のいる中学校では、ほとんど同じ小学校の人だ。
小学校で友達を作らなかったから、
私は中学生に入っても1人だった。
でも、中学2年生で初めての「友達」ができた。
それが、東京から転校してきた優奈(ゆうな)
最初は都内からきた転校生ってことで
みんなから人気だったけど
性格が私と似ていて少し人見知りだったから
みんなの興味は次第にうすれていって、
1人になっていた。
私の優奈が仲良くなったきっかけは
「小説」だった。
好きな作家が同じで、ちょうど優奈の席の後ろだっ
た。私は、プリントを配るために後ろを向いた優奈が
私の机にあったその小説を見て
「その小説、好きなの?
私、その人の作る小説が好きなんだ」
と話しかけてくれた。
優奈は元々都会っ子だから、
関西弁が分からなくて伝わらないこととかもあったけ
ど。
やっぱり、一緒にいて楽しかった。
でも、そんな幸せな日々はずっとは続かなかった。
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「なぁ、優奈のこといじめてみねぇ?」
ある1人の男子が休み時間に声を上げた。
その日、優奈は風邪を引いて休みだった、
みんなが、雑談をやめた。
いや、発言が止まった。
クラスで発言権を持っている人が、賛同した瞬間
“この波に乗らないと”とみんなが
「いいと思う」と声をあげた。
私がここで「いじめたくない」といえばよかったの
だ、
でもそんな勇気、私にはなかった。
クラスの中心人物の百合奈(ゆりな)は、
みんなからの意見をきいたあと、黒板前の先生の机
に足を広げて座り、睨むような姿勢で私の方を向い
た。
「晴留(はる(主人公の名前))ってさ、
優奈と仲良かったけど、まさかここで“やりたく
ない”とか言わないよね?」
みんなの視線が私に集まる。
何か言わないと、なにか、
否定するんだ、いじめたくないって、
私は優奈の親友だから、はっきりいうんだ、
「ぁ…、えっと………
わ、わたしは_______
どっちでも……いい、かな、」
この数秒後、自分がなにを言ってるか理解した。
私、最低だ。
こんな時にまで、自分のことを優先した。
その日から、本格的な優奈へのいじめが始まった。
教室に鳴り響く笑い声
見て見ぬふりをする先生たち
そして、優奈と目も合わせられなくなった私
この教室の全てが一瞬で、不快じゃ言い表せないもの
に変わった。
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いつも、佳代子さんがいる公園を通って、
「噂話」を聞かせてもらっているけど
その日から、そんな話を聞いても頭に入ってくる気
がしなくて避けていた。
優奈を本格的にいじめてから2ヶ月後、
いつものように朝、玄関の扉を開けると佳代子さんが
扉の前で待っていた。
「佳代子さん…?」
久しぶりに見た佳代子さんの顔は
少し前までの平和な時間を思い出させられて
優奈の、普通の笑顔が頭に浮かんで。
私は声が少し震えた
「最近、公園へ寄れてなくてごめんなさい、
色々と、忙しくて、あの、えっと、、」
言い訳なんていくらでもできるはずなのに
2人の「親友」、
そのうちの1人の前だと
私はどうやら、嘘をつきたくないらしい
だから、今、私の目にはしょっぱい水が溜まってい
る。
「…特に大事な用事はなかったんだけどねぇ、
最近、帰る時の晴留ちゃんの顔が
いつもより、うんと暗いように見えてね、
もしかしたら嫌なことでもあったんじゃないかって
不安になっちゃってねぇ、
……私の思い違いだったかねぇ、?」
ここで、思い違いです答えたら
これからどうなるだろう。
佳代子さんはなにも悪くないのに
ずっとそのことを気にして、避けていくのだろうか。
そして、ここまでしてくれた人に
嘘をついていいのだろうか。
だけど私は、“思い違いです”というつもりだった。
そのはずだった。
「……佳代子さん、私、最低なんです。」
自分でも予想外な発言が出た。
佳代子さんに変な心配はかけさせたくない。
だから、思い違いだって、いうつもりだったのに。
私は建前を人の前で言うことが
どうやら苦手なようだ。
「…なにかあったんだねぇ、
私で良かったらだけど話は聞くよ
時には休息も必要だよ、晴留ちゃん。」
頭にポンと置かれた温かい手に、
今まで堪えていた感情を全て爆発させたように
私は泣いて、泣いて、泣きじゃくった。
この時間だけは大切にしたかったから、
初めて私は学校をサボって、
佳代子さんの家に入った。
そこから私は、
私のしてしまったこと。
今どうしたらいいか分からないこと。
今までの、一部始終を
上手く回らない頭で話した。
きっと、聞きにくかったしうまく内容も伝えられて
なかったけど。
佳代子さんは、なに一つ文句を言わず
うん、そっか、そうだね、
と、優しい声で私の話を聞いてくれた。
話終わった時に、佳代子さんは私の目をじっと見つ
めて言った。
「ねぇ、晴留ちゃん。
晴留ちゃんは、もう少し正直に言ってもいいと思う
の。
我慢しすぎちゃうんだねぇ、昔からそう。
周りのことを考えすぎて
自分のほんとにしたいことを押し潰しちゃう癖があ
るんだねぇ、みんなから好かれるなんて無理なんだか
ら。
晴留ちゃんが本当に守りたいって思う人が傷つきそ
うなら、晴留ちゃんが守るべきだと思うの。
昔に、私が晴留ちゃんに言ったこと覚えてるかしらね
“晴留ちゃんの意見は晴留ちゃんのものなの、
誰にも消されない。だから晴留ちゃんは、自分から
自分の意見を消す必要なんてないのよ。”って」
その瞬間、私は気づいた、
私が本当に守りたいのは優奈なんだ。
「ありがとう、佳代子さん。
私、いってくる」
自分勝手だけど、今しか言えないと思った。
だから、私は中学校まで全力で走った。
遠かったから、息も切れたし
もちろん疲れたけど
そんなこと気にならないくらい、私は走った。
ドアを勢いよく開けたから、
ドンっ!!!
って音が教室に鳴り響いた。
みんながこっちを見てる。
あぁ、ダメだ、
やっぱり、緊張して、言えないよ、
その時、佳代子さんが私に最後に言った言葉を思い
出した。
「いってらっしゃい、晴留ちゃん。」
…そうだ、私がここにきた理由は決まってる。
迷うことなんてない。
私は、私の守りたいものは、
私が伝えたいことは、
“どっちでもいい”ことなんかじゃない!!
「私、わたしっ、優奈をいじめてほしくない!!!
いやだった!ずっと、!
でも、言えなかった、怖かったから。
私もいじめられると思ったから、
でも今、私はいじめられる覚悟でここで言ってる!!
ごめん優奈、あの時、「いじめたくない」って言え
なくて、本当にごめん、
今から、私が守るよ、一生懸命、守るよ。」
クラスが一瞬にして静まった。
でも、1人の声が聞こえた
あぁ、優奈だ。
優奈の泣き声が聞こえる。
こんなに追い込んでいたんだね、
もしいじめられても、仕方ない。
やっぱり、クラスの中に味方なんていなかっ___
静かな教室だった、だけど
1人の人が声を出した
「お、俺も、優奈をいじめたくなかった。
でも言えなかった、ごめん、優奈」
私も、俺も、僕も、
と、いつも教室で静かな人たちも、
みんなから好かれる人も、
震えた声で言った。
「いじめたくなかった」
ただの言い訳だ。
だけど、その言い訳でも
私たちにとっては、一つ一つの言葉の重みが違った。
そこから優奈に対するいじめはなくなった。
優奈も、だんだんとみんなの空気に馴染んでいった。
正直になろう、これから。
私は、大切な人を守るために、
人を傷つけるんじゃない、守るために。
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読んでいただき、ありがとうございました。
(題・正直)