11/5/2024, 12:25:21 PM
遠くから近付いてくるように、少しずつ大きくなるアラームの音で目が覚めた。
今日は必要ないのに。少し損をしたような気分になる。
遮光カーテンを締め切った部屋は暗い。窓の外からは、ほのかに雨の音が聞こえるような気がする。
いつものアラームで起きたのだから、どうせ起きるには少し早いだろう。
身動き一つしないままでいたからか、心地よい雨音に誘われたか、じわりじわりと微睡みに落ちていく。
布団を被り直すように寝返りを打つと、カーテンが揺らめくのが見えた。
おや、天気雨だったろうか。
ほんの一瞬だけ射し込んだ外の色は、やけに明るいように思えた。
/一筋の光
11/4/2024, 4:30:30 PM
秋になると、人は皆どこか物悲しいような、何かを憂うような心持ちになることだろう。
柄にもなく、あるいはいつにも増して、高い空がどうしようもなく恋しく思えて見上げるだろう。
そうして開いた心の穴か隙間か、秋風を通す虚しさを埋めてしまいたくて、食欲や芸術を持ち出している。
それでも、どうしても、埋められないんだろう。
吸い込まれそうなほど青く澄んだ空に、柔らかな花のかおりを乗せた少し冷たい風が吹く。
今夜の月は綺麗だろうか。
/哀愁を誘う