「あわれ」
あの人の背中をさすった
あの人は涙を止めぬまま感謝した
泣かないで。
俺は言った
全て諦めたような顔で
全て 裏切られたような顔で
あの人は暖かくその言葉を受け取ったように見えた
疑っていなかった
信じられていた
あぁ、もううざったいから、
泣かないでよ。
これは誰の声?
12.2.泣かないで
「暖を取る」
灯油の匂いが鼻を突く
その後すぐ、冷え性の足が暖まっていく
赤い色が笑い声の中に
ぼうっと灯って居続ける
暖房の匂いを霞みとる
その後ちょっとして、乾燥肌が悲鳴をあげる
断熱材の埋め込まれた部屋じゃ
ちょっと重すぎるくらい
ココアがなんとなく飲みたい
買いだめしているココアを開ける
コップから伝わる暖かさで
今日はもう眠れそう
そういう暖かい幸せを感じる
11.30.冬のはじまり
「既読スルー」
話していたい、気持ちに反して
話題の小瓶はすっからかん
あなたとイタい、時間に反して
絵文字で反応はい終わり
好きって言ったじゃん
かわいいって言ったじゃん
でも、
距離取りたいって言ったじゃん
死んでほしいって言ったじゃん
お願いだからその言葉
もう既読スルーしたくないの
お願いだから、それで終わらせないで。
11.29.終わらせないで
「雨のち飴で甘やかす」
ザーザー雨降り、わたしとあなた
ワーワー雨降り、わたしときのう
なんで止んでくれないの?
あの子はもう水たまりで遊んでるのに
って、
自己暗示に吸い込まれた私に
じょうろで水をたんまりかける
私は気付かない
貴方も気付かない
でもそのうち飴をあげなきゃいけない
苦い雨ばっかりじゃ、だめなんだって
厳しくしろと言われたり
たまには甘やかせと言われたり
忙しい、心の天気模様
11.28.今日の心模様
「愛せない」
嫌いな人に向けられた好意というのは、
私にとって、気分の悪いものだった。
なんで私じゃないの。
なんで。
だけど。
自分自身を嫌悪するようになってしまったから、
私に対する好意も、何故か憎いのだ。
なんで私なの。
なんで。
どうして私には愛が注がれて、
貴方は愛を欲して泣いているのか。
どうして私はそれを知ってるのに、
何もしようとしていないのか。
愛情は尊いものだと思っているのに
それに付随する全ての出来事が、何故か憎いのだ。
11.27.愛情