どちら様

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1/13/2024, 12:44:16 PM

永い永い眠りから覚めて
誰かがいないことを
胸に通る隙間風だけが覚えている

ぼくを生かすために払われた犠牲を思えば
この旅路を終わらせることなどできないけれど

ああ、ぼくが忘れたあなたに
会える夜だけをただ求めている


『夢を見てたい』2024/01/1411

1/11/2024, 2:09:46 PM

首を縮めてバラバラに佇む
鳩たちを横目に家路を急ぐ

おでんを食べて
床暖房をつけて
羽毛布団を被っても

それは“温もり”ではないから




『寒さが身に染みて』2024/01/1215

1/10/2024, 10:15:18 AM

酒も煙草もこの日を待たず始めてしまったけど
今日、この日をあんたと一緒に過ごしたかった

お猪口に日本酒を注いでやって
おそらく会話は弾まないだろうけど
なんなら全く家に寄りつかないことを
あんたは叱るかもしれないけど

それでもすべてを甘んじて受け入れるから
今日の俺を見て欲しかった

せっかちな性格そのままの人生みたいだったけど
母さんは今でもあんたへの愚痴になると長いけど
俺は格好良いと思ったあんたみたいに
精一杯の大人の振りをしてみせるよ、今日から



『20歳』2024/01/1117

12/28/2023, 10:15:18 AM

「じゃ」
「また」
その後に、いつもより少しだけ指先を揃えて
「良いお年を」

1年に1度だけ、大切な挨拶
返ってくる同じ言葉
お互いにはにかんで、背を向けて歩き出す

さて来年君に会うのがもう楽しみで仕方ない
次の挨拶はもう決まっている
それも大切な、1年に1度だけの大切な挨拶

次また繰り返せるとは限らないから
大切な挨拶


『冬休み』2023/12/2914

12/21/2023, 3:05:47 PM

地上に縛り付けられた人間が
太陽の光と頭上の空間との間に

たくさんの色を見つけられる目と
それを美しいと感じるなにかを

持っていることは
きっと感謝すべきことだと思うよ


『大空』2023/12/2218

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