毎日祈り続けた。
どれだけ悲しいことが起きても、どれだけ苦しくても、いつか報われると、いつか神様が声を聞かせてくださると。
虐げられても、死にそうになりながらも、ただひたすらに奉仕して、毎日の祈りを欠かさずにいた。
神様、私が救われるのはいつでしょうか?
瞼を閉じる。どんどん意識が薄れていく。
日毎夜毎の祈りの果て、神様はようやく私を呼んでくださった。
『祈りの果て』
『この迷路を抜けて脱出せよ』
目の前の看板にはそう書かれていた。
いつの間にか私は迷路の真ん中にいて、曲がりくねった道が四方八方に伸びていた。
どちらに行けばいいかわからず、その場に蹲る。
小さな声で「助けて」と呟いたところで、誰も気付かない。ここには私だけ。
徐々に、このままでもいい気がしてきた。このままずっとここに、誰にも会わずに、このまま。
わかっていた。この迷路が、今の私を表しているものだと。たくさんの迷いが、誰にも心を開きたくない思いが、私をここに閉じ込めている。
この先に出口があるのかすらわからない。でもどうせ出たくないから、私はこのままここで眠り続ける。
目の前にあった看板はいつの間にか朽ち果てて、もう何も読むこともできない。脱出は叶わない。
『心の迷路』
モノクロの部屋に混沌が満ちる。
ザザザザと途切れ途切れに、ノイズが流れるテレビの横からカーテンをすり抜けて、徐々に激しく音が響く。
更に世界は薄暗くなり、ザーザーと、音が強くなる。
唯一の灯りは灰色のテレビだけで、明日も同じような日が続くだろうと、ぼんやり考えていた。
その思考も闇に融け、いつしか消えていく。
瞼を閉じて、たまには雨の日もありかもしれないと、遠くなるノイズを聴きながら。
とっくに雨は止んでいて、ノイズも止まり、モノクロの世界ももう終わり。
ティーカップを置いて、カーテンを開ける。雲の隙間に見える陽が、もう沈みかけている。
実際は、雨の降った土曜の昼下がりに、甘い甘い紅茶を飲んでうたた寝をしていただけ。
『ティーカップ』
力で支配して、何も聞こえないふりをして傷付けた。泣き声も無視して、ただただ自分勝手にぶつけた。君にとって痛いだけの感情。
一方通行で成り立ってなんかいない。ただ自分一人の感情を、きっと『愛』なんて言わないだろう。この感情はただの『エゴ』。君を傷付けるだけだとわかっている。
そうだとしても、止められない感情。本当は、止めないといけない感情。
一番泣きたいのは君なのに、気付かれないように自分も泣く。意味のない謝罪の言葉を小さく呟く。それすら『エゴ』だというのに。
本当は、ただ寂しかっただけなんだと。そう言ったら、受け止めてもらえただろうか?
そんなことを考えたって、どうしようもない。もう今更、『愛』などと言う資格もない。
あぁ、これが本当に『愛』だったらよかったのに。
『寂しくて』
この美しい透明な羽根を気に入っていた。
今日もこの羽根を見せびらかすように舞う。
「やだ! 気持ち悪い!」
人間に叩き落とされた。
人間は、私達のことが嫌いみたい。
こんなに美しいのに。どうしても分かり合えないんだ。
『透明な羽根』
これ以上は、入ってこないでください。
今、私は大いに傷付いているんです。落ち込んでいるんです。
この境界線を越えないで。これ以上、傷付きたくないから。
それなのに、あなたは入ってくる。この境界線を越えて。
それが不快で、それなのに嬉しい。
こんなことして、許してあげるのは、あなただけだから。
「ところで、どうして落ち込んでるの?」
「投稿アプリに、毎日投稿してるのに、前回投稿忘れちゃったから」
「自分のせいやないかい」
『心の境界線』