川柳えむ

Open App
11/8/2025, 12:56:44 AM

 灯りが暗闇を煌々と照らす。
 この光は、僕らの希望だ。僕ら明るく照らす、一筋の光だ。だって、こんなにも心まで明るくしてくれる。
「うおおおおお! 騒ぐぞー!」
「おぉー!」
 雄叫びを上げる。
 楽し過ぎる。みんなで囲うキャンプファイヤー。


『灯火を囲んで』

11/6/2025, 10:38:40 PM

 冬だ。冬がやって来た。
 冬を迎える支度をする。ゆっくり眠る為、食べ物を部屋にたくさん集めた。
「いつまでこもってるの! いい加減部屋を出て働きなさい!」
 あーあー何も聞こえない。
 さて、冬眠を始めよう。春までおやすみなさい。


『冬支度』

11/5/2025, 10:57:15 PM

 それはまるでスローモーションのように。
 頭上から鉄板が落ちてくる。その後どうなるか理解した瞬間、声にならない声で叫んだ。
「時間よ止まってくれ」
 時を止めて。そしたら、僕はこの手を伸ばして――。
 しかしその願いは届かず、目の前の君の姿が見えなくなった。
 叫びながら再び願った。
「時間よ巻き戻ってくれ」
 そしたら、今度こそ君を救うのに。

 ――目の前を、君が楽しそうに歩いている。
 何が起きたかわからない。
 さっきのは白昼夢だったのか。でも、なんでもいい。君がここにいる。
 君に声を掛けようとした瞬間、再び鉄板が空から降ってきた。
 駄目だ。また。間に合わない。
 時間を止めたい。その願いは叶わない。
 しかし――。

 また、君が目の前を歩いている。
 どうやら、僕の『時間を巻き戻したい』という願いだけが叶っている。
 しかし、あまりにも巻き戻る時間が短かった。
 どう足掻いても、君の姿は消えてしまう。
 これを繰り返すくらいなら、そんなこと願わなければ良かった。こんなに何度も君を苦しめることになるなんて。

 前を行く君が笑う。
 この瞬間だけを切り取って、時間が止まれば良かったのに。


『時を止めて』

11/4/2025, 10:59:12 PM

 キンモクセイの独特な甘い香り。
 その香りに誘われるよう歩いていると、知らない喫茶店に辿り着いた。その名も『喫茶店キンモクセイ』。
 こんなところに喫茶店なんてあったっけ? まぁせっかくだし入ってみようかな。

「いらっしゃいませー」
 案内された席に座り、辺りを見回す。昔ながらの喫茶店といった雰囲気だ。懐かしさを感じる。居心地が良い。
「ご注文何にしますか? オススメは、この、キンモクセイの花びらがブレンドされた紅茶です」
「じゃあそれを」
 しばらくして紅茶が運ばれてきた。私を誘った甘い香りが鼻腔をくすぐる。紅茶を口にすると、秋の風で少し冷えた体を優しく包んでくれた。
「美味しいです」
「ありがとうございます。お好きですもんね、それ」
「え?」
 まるで私の好みを知っているかのような口ぶりだ。
「どうして……」
「だって、去年も頼んでましたよね。気に入ってもらえたようで何よりです」
 去年?
 私は去年もここに来ている? たしかに、この店に入った時に懐かしさを感じだ。それは、私がここに来たことがあるから?
 そんなことを考えていると、だんだん眠気がやって来た。それがまた心地良くて、ゆっくりと瞼が落ちていった。
「来年もまたお待ちしております」
 遠くで店員の声が聴こえた。

 ……いつの間にか眠っていたようだ。
 公園のベンチで目を覚ました。辺りには一面のキンモクセイ。
 キンモクセイ……何かあった気がする。この香りに包まれて、どこか、居心地の良い場所にいたような。
 夢でも見ていたのか。
 はっきりとは思い出せないが、キンモクセイが香る頃、またあの場所へ辿り着けたらいいなと思う。


『キンモクセイ』

11/3/2025, 10:45:07 PM

 行かないでと願ったのに、神様は聞き入れてくれなかった。どんなに望んでも、連れて行ってしまった。
 あの幾千の星の中で、君は輝いている。
 いくら伸ばしても届かないとわかっている。それでも、手を伸ばす。
 いつか君と逢えますように。


『行かないでと、願ったのに』

Next