君の為にいろいろなものを用意した。
君専用の食器も用意したし、君が好きそうなものをたくさん並べた。休める場所も用意した。君の部屋も用意したよ。
「素敵な部屋ですね。行ってみたいです」
話の流れで部屋の写真を見せた時、そう言ったよね?
いつ来る? 僕はいつでもいいよ。
……ねぇ、なんでそんな顔するの?「時間ができたらそのうち」っていつ?
仕方ないから君を無理やり連れてくることにした。
ほら、素敵な部屋だろう?
かわいく飾り付けられた、窓も扉の内鍵もない部屋に、君はようやく招待された。
『おもてなし』
目の前で炎が燃え上がる。
渦を巻き、全てを飲み込むように、立ち昇る。
それが放火だと判明するのに、そう時間は掛からなかった。
僅かな心当たりがあった。逆恨みから、こういうことをする人物。
焔が灯る。心の中に、どす黒い焔が。
この復讐の焔は決して絶やさない。必ずおまえを飲み込んでやる。
『消えない焔』
いつまで経っても終わりが見えない。
問題が山積みで、これが永久に続くのではとさえ思えた。
そういえば、動画で見たことあるな。ある特定の条件に達しない限り永遠にクイズが出題され続けるというドッキリを。
もしかしたら、これもそうなのかもしれない。
……いや、条件はわかっている。
本当は永久なんじゃなくて、この大量の問題を解けば終わるって。なんなら解き切らなくても、時間がくれば終わるって。
いや、だって問題数多い上に難し過ぎるんだよ、このテスト!
『終わらない問い』
目の前で羽根が揺れる。
フリフリと。お尻の上で。
「ミーちゃん、お尻に羽根ついてるよ」
そう言って、ミーちゃん――飼い猫のお尻から羽根を取り除く。立派な白い羽根だった。
「もー。どこで付けてきたの、こんな羽根。天使かと思っちゃったよ」
でも天使なのは間違いない。だってこんなにかわいい。天使過ぎる。この世のかわいいを全て詰め込んだようなかわいさだ。
ミーちゃんは体をペロペロと、どこか得意げに毛づくろいした。
飼い主は知らない。
その羽根が、その辺を飛んでいる鳥を狩って付いたものだということを。
他の生物から見たその姿は、まるで悪魔のようだった。
『揺れる羽根』
昔、天界に優秀な二人の天使がいました。
二人の天使がいれば、世界は安泰だと思われていました。
しかし、二人の天使のうち、一人は、もう一人の天使に嫉妬していました。自分と並ぶ、いや、自分よりも優秀な天使がいるなんて。
天使はある日、天界の禁止区域に立ち入りました。
禁止区域の奥には、箱が眠っていると言われていました。
その箱は、ずっと昔に、ある人間が自分を犠牲に、悪魔を閉じ込めものだということでした。箱の奥底では、犠牲になった人間の魂と悪魔が、今でも戦い続けているという話です。
その話を知っているにも拘らず、天使はその箱を開けてしまいました。
その責任を、もう一人の天使に擦り付ける為に。
そうして、再び悪魔が解き放たれ、世界には憎悪や悲嘆、苦痛などといったものが溢れてしまいました。
もう一人の天使は管理責任ばかりか、開けた犯人とまで疑われ、天界から魔界に堕とされてしまいました。
彼は、天界の光を拒絶するかのように、闇を纏いました。
それから、優秀だったその天使は魔界を納め、魔王として君臨したということです。
『秘密の箱』