ようやく空気が秋めいてきて、風も涼しくなってきた。曇りになると少し寒い。
今日は晴れてくれても良かったのにと、空を見上げる。
まぁでも暑いよりはいいかと、二人で歩き出した。
それに、少し寒い方が、君の温かい手を繋ぎやすいしね。
『cloudy』
私は、あの世とこの世を繋ぐ、虹の架け橋を作る職人。
人口も増えたことで、虹の架け橋の出番も増えた。なので、現在増設中だ。
「○丁目の橋が古くて崩れかけているそうです」
壊れた橋の修復も仕事の一つだ。
みんなが安心安全にあの世に渡る。その為に、今日も働く。
「そら、直ったよ」
橋を直して、待っていた子供に先へ進むよう促す。
こんなところで、子供を見るのは、あまり好きではない。でも、せめて次はもっと長く幸せになれるようにと、そんな気持ちで橋を渡らせる。
「おじさん、ありがとー」
みんなが笑顔で逝ってくれたら、それだけで救われる。
私は今日も働き続ける。
『虹の架け橋🌈』
『今何してる?』
『こっちはようやく少しずつ涼しくなってきたよ』
『そっちはどう?』
もう二度と既読がつかないことをわかっていて、それでも送ってしまう。
『会いたい』
その一言を入力しては、すぐ消す。
こんなこと送ったら怒られてしまいそうだし。
既読がつかなくても、この気持ちが届いていればいいな。
『君が幸せでありますように』
『既読がつかないメッセージ』
『秋』という題材で絵を描くよう課題を出された。
面倒だった俺は、赤やオレンジ、茶色を混ぜた絵の具でキャンバス一面を塗りたくった。
なせが表現が素晴らしいと褒められた。勝手に絵の解釈をされ、天才だと囃し立てられた。
芸術ってわかんねーと俺は思っていた。
『秋色』
「もしも世界が終わるなら」
「え?」
また変なこと言ってる。そう思った。
こいつとの付き合いは長い。子供の頃がずっとこんな感じである。
「もしも明日世界が終わるなら、どうする?」
再度質問が繰り返される。
公園にある高台から街を見下ろしていたら、突然そんなことを言い出したのだ。
そいつの隣に座り、答える。
「変わらないよ」
「変わらない?」
「そう。いつも通り、おまえの隣に座って話を聞いてるよ」
そう言うと、一瞬驚いたような顔をして、それから満足そうに微笑んだ。
「そうか。死ぬまでずっと一緒か」
「そうだよ。世界が終わるまでずっと」
街が夕日に飲み込まれていく。赤く染まった光景は、まるで世界の終わりのようだった。
『もしも世界が終わるなら』