目が覚めるまでに

ぼんやりとした夢を見た
名前を呼ばれる前に目が覚めたけど。
君は一体誰なんだろう

目が覚めると

気付きたくない。
気付いてしまわない方がいいんだ。

だって、気付いてしまったら

もう、逃げられないのを知っているから。

そう、私は目を逸らし続ける。

君の、まっすぐ見つめてくる視線が痛いなぁ

逃れられない呪縛

いつかの怒鳴り声が

「お前には出来ない」「貴方はやっちゃ駄目よ」

いつかの言葉が

今も耳から離れない

ずっとこのまま

ずっとこのまま時が進まらなければいいのに
時間に切り撮られた写真のように

ぬるま湯の中を悠々と揺蕩っていたい

こう思うのはそんなにも悪いことなのだろうか

否、それは悪いことなのだろう
だってそうじゃなきゃ

貴方はそんな悲しそうな顔しないだろう？

変わらないものはない

そんなことは知ってる
でも、だからと言って変わることを恐れるのは
言い難いのない恐怖を覚えるのは

そんなにもおかしいことなのだろうか

テセウスの船のように少しずつ変わって
いつしか全てが変わったときに
恐れを抱くのはいけないことなのだろうか