#快晴
7年間雨が続く村、もうみんな快晴など拝んだこともない
原因は村の神社にあった。
神社の神様は感情を天候に変えてしまう
7年前に神様は泣き続け、天候を雨に変え続けた。
このままだと村は湖に沈んでしまう
あらゆる場所から泣き虫の神様を笑わせようと人が集まった。
誰が何をしても神様は笑顔にならない
いつまで経っても神様は泣き止まない
みんなが諦めかけて村を手放そうと考えていたとき
村におばあさんが訪ねた
おばあさんはたいへん聞き上手で村の人の苦労話を親身なって聞いた
おばあさんに話すとみんな辛い気持ちが軽くなった
村の人は一度神様とおばあさんを会わせるように提案した。
おばあさんは話すわけでもなく泣き虫の神様の近くにいた3日目あのある日神様はおばあさんに自分の話しをした
その日雨は降らなかった。
#遠くの空へ
施工管理の仕事を逃げ出し俺はあてもなく車を走らせる。
入社6年目、上司と職人の板挟みにあいながら会社の寮で生活していた
300時間におよぶ残業と上司からの罵声
普段は辞めろと怒鳴るが辞表を出そうとすれば殴られた
同期の自殺をきっかけに俺は逃げる決心を決めた
職場に辞表と手紙を添えて忍び足で寮をあとにした。
早朝になり車を止めて広場に座る
ふと気づくと綿毛を付けたたんぽぽが咲いていた
息を吹きかけふわふわと飛んでいく
「飛んで行け、遠くの空へ」
風に流される綿毛を見ていたら、俺は元気が出てきた、
車に乗り込み俺は車のアクセルを踏む。
#春爛漫 はるらんまん
最果ての地、くたびれた荒野に枯れない桜の木が一本だけ生えていた。
落ちない花びらをつけ、満開に咲き続けている
異様な風景だった。
どこかの富豪がその桜の木を、たいへん気に入り桜の根っこまで掘り起こし
富豪は自身の庭で桜の周りにその枯れない桜の木を植えた。
「まさに春爛漫よ、本当に美しい桜だ」
するとすぐに異変が起きた
周りの桜は、みるみると枯れていき
一時間もしないうちに庭の草木はあの桜を除いて枯れ果てた
その庭の景色はあの荒野とそっくりそのままになっていた
養分を吸い取り咲き続けている桜の木
全てを飲みこむような美しさだった。
#誰よりも、ずっと
洞窟の奥深く懐中電灯を頼りに進んで行く
すると私は目的地にたどり着いた
壁面いっぱいに描かれた壁画
儀式の様子や祭りの様子
各地でこれに似た壁画をたくさん見て調査してきた
私は誰よりも、ずっとこの壁画の価値を知っている
この壁画は、これから起きる未来を記したものだ。
#これからも、ずっと
私は生まれつき頭の障害で勉強はおろかスポーツも活躍できた試しがない
顔は醜く、無口で一歩外に出れば歩くサンドバッグ
あいつは頭がおかしい、やっぱりだめだねあの子は
気持ち悪い、同じ空間にいたくない、いちいち言わないと分からないのか馬鹿がよ、あいつは何をやらしてもだめだ、その歳になってそんなこともわからないの
まだいたんだ、もう帰りな
これからも、ずっといじめられ続けるのだろう
だけど、それを当たり前にしないと、もはや生きていけない
人に心を開けない、心を開いて頑張って自分をさらけ出しても半年後にはそれは全て私の悪口に利用されいじめられる
こんな思いをするくらいなら誰とも関わらずに孤立し、心を閉ざし一人でいても心に大きな穴が開くだけ
どうやって生きればいいかももはや分からない
35歳になったら自分で自分の人生を終わらせよう
その頃には両親は死に、私を愛してくれる人も
悲しむ人もいなくなる
ただ今は悲しんでくれる人のためだけ生きていればいい
誰からも否定されてもいい
何も信じて生きなくてもいいのだ
これからも、ずっと
ずっと