#溢れる気持ち
私の日記に私の事は書かない
代わりに私の周りの空気を書く
出会った空気に名前をつける
冬の朝の空気、名前は「ヒュン」
押入れの空気、名前は「ガビ」
海岸の空気、名前は「ビヨ」
あの子に合う空気、名前は「マグモ」
空気は私の体で生きて私の一部になる
溢れる気持ち
出会いと別れ日記に書き留める。
明日の空気、名前は
#勿忘草
あの人のお墓参りにはいつものようにあの花が飾られていた
勿忘草、花言葉は「私を忘れないで」
あの人を死に追いやった私は毎日あの人の夢を見る
正面に立ち、じっと私を見ている
なんとかあの人に、許してほしくて、何度も何度もあの人のお墓を訪れてる。
いつ墓参りに来てもあの花は飾れている。
#ブランコ
幼稚園でブランコは人気遊具だった
休み時間は順番待ちになり
私は終わりまで遊べなかった
母さんが迎えに来たが、遊べなかった私はひどくすねていた
見かねた母さんは帰りに公園でブランコをするのを待っててくれたのを覚えてる
夕焼け空の下ブランコに夢中な私を母さんは優しく見ていた。
#旅路の果てに
音のない世界
神様が音を取り上げた
ある日唐突にこの世から音が消えた
あれから僕らは無音の中にいる
声、曲、風の音、水のせせらぎ、
好きだった歌はもう歌えない
音が失くなり数年が経ち、みんなは音を取り戻すことを諦めていた、
でも僕は諦めたくなかったまたこの耳で音を聞ききたい
世界中を探し回って、僕は音を探した
耳を傾けて
歩き回った
どこまでも、どこまでも
旅路の果てには何もない
無音の海岸で僕は立ち尽くす
目を閉じて音を思い浮かべる
波の音、風の音、鳥の鳴き声、船の音、好きだった鼻歌
僕だけの音
在るはずだった音
#あなたに届けたい
絵描いてみたんだ
上手く描けないけど
集中して取り組めた
誤魔化して塗った色
今回は上手く活かせた
これを見て喜んでくれるかな
あなたに届けたい