君の澄んだ瞳の中に映るものは
君のように美しいものだけにしたい
君の耳が拾う音色は
君の声のように美しいものだけにしたい
でも、そんなことしたら
君にこんな汚い感情を抱く僕は君の目に映ることも
君に声をかけることも出来やしない
そんなの耐えられないんだ
だから、美しいままである事を諦めて欲しい
天使のように美しい君は
この世界でただの人間になりさがってしまう
僕のために
君よ、穢れてくれないか
どんなに嵐が来ようとも
どんなに強い波に飲まれようとも
僕たちの間で結ばれた糸は切れることは無い
そう言いきった君の姿をもうはっきりと思い出すことは叶わない
僕たちの間の糸は切れずとも
君をこの世界につなぎ止めておく糸は
何年も前に簡単に切れてしまったのだから
もう少しもう少し待ってておくれ
そちらに行ったなら糸を手繰ってすぐにでも
君の元へと駆けつけるから
ついさっき、
「せっかく沢山掬ったんだから1匹くらい
連れて帰りや」
と、優しいおじさんがビニール袋に入れてくれた金魚
「お前ら、意外と簡単に捕まえられるのな」
返事なんて帰ってきても逆に困ってしまうのだが
袋という狭い空間の中で自由に泳ぎ回るこいつを見ていたらふとそんな言葉が口からこぼれていた
囚われの身だという自覚はあるのだろうか
「お前は俺といてくれるよな」
1度俺の隣に並んでこの祭りに来たあいつは今頃何をしているのだろうか
あいつもこの金魚のように、もう一度簡単に手元に…
そんな俺の願いは花火の音に掻き消された
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皆さん、こんな駄作にわざわざ目を止めてくださりありがとうございます
世知辛い世の中ですが、皆さん生きてるだけで偉いので気負わずに生きていきましょう
私の創り出す短い世界がほんの少しでも現実から離れる時間になればと思います
なんて言いながらハッピーエンドと呼ばれるような作品は少ないのですが…
これからもよろしくお願いします
それでは
君が今ここから飛び降りるなら
君は君という存在を殺した
殺人犯になるぞ
「じゃああなたも共犯ね」
神の手をとって私は空へ飛び立った
誰かのためになるならば
自分の心を押し殺すことさえ厭わなかった
だけど
世界を見捨てることになっても
貴方だけは、貴方の手だけは離せなかった
さよなら世界
またいつか