声が枯れるまで
この声が 枯れるくらいに
君に好きと 言えばよかった
始まりはいつも
すれ違い
人間みんな、すれ違いばっかり
忘れたくても忘れられない
今はそれでいいと思う
流れに身を任せるのも、時には肝心
水流に逆らっても流されるだけなら、いっその事力を抜いて
3年前、とあるネットの人間に惚れた
会った事もない、ただゲームと寝落ち通話を毎日のようにしてた関係だった
当時の私は自信が無くて、振り回される恋愛ばかりだった
そして私より恋愛経験豊富な同性に相談してたところ、遊ばれてるとかやめた方がいいとか言われ、私はそう簡単には抜け出せなかったけど、まだ気持ちが残ってるのに無理やり離れた結果、その相手とはギクシャクして上手く接する事が出来なくなった
当時の私の選択に、すごく後悔した
それまでの恋愛は、好きって気持ちをストレートに伝えて終わってきたものばかりだった私が、中途半端にしか気持ちを伝えられてないまま離れて、それ以降その人がずっと頭の中に居た
「この気持ちってなんだろう、なんでこんなに忘れられないんだ。なんであの時無理やり離れてしまったんだ。」
色んな感情が頭の中をぐるぐると渦巻いた
「こんなにモヤモヤしてるのは、伝えたかった事を伝えきれなかったからだ。」
そんな日々を過ごす中で、好きなタロット占い師が『今だけ無料で1つ鑑定します』という企画をやっているのを見つけた
この渦から抜け出したくて抜け出したくて、藁にもすがる想いで占い師にLINEで文章を打って相談をした
その人の言葉は「伝えきれなかった想いを、紙でも何でもいいからひたすら書いてみたらどうかな。」というものだった
ピンと来た私は、気持ちの捌け口に使ってるグラビティというアプリに、当時の彼への想いをひたすらに書き殴った
書き終えてから、怒涛の長文に驚いた
こんなに抱え込んでたんだ。と
不思議と、書く前より気持ちは落ち着いていた
でもそんな感情もほんのひと時で、日が経ってからはまた謎のモヤモヤに悩まされた
そんな日々を過ごす中、彼が久しぶりに配信をした
チャンスだと思った
勇気を出してコメントをした
文面では分からずとも、ぎこちないな。と思った
彼は普通に反応してくれた
安堵はしても、モヤモヤはそれでも消えなかった
好きだったという事を伝えてないのが1番デカイんだなと思った
私は、この気持ちを伝えたいと思った
でなきゃ、一生ケリがつかない気がした
全ては自分のために─────────
ぎこちないコメントを何度か繰り返すうちに、彼は私の配信にも顔を出してくれた
突然で驚いた
長い事顔を出さなかった彼が、いきなり現れたのだから
私がコメントをしに行ったからかもしれない。と思った
目標に近づいてる感じがして嬉しかった
配信を通して少しずつ関わっていくうちに、久しぶりにLINEをするようになった
とは言っても、用がある時に話す程度の業務連絡だ
それでも、全くやり取りのなかった頃に比べたらとてつもなく嬉しかった
そして、徐々に徐々に、距離が戻っていった
ある日、必要最低限のLINEを送って少しラリーが続いてる最中、彼が突然電話をかけてきた
このムーブは元々だが、この時ばかりは驚いた
それまで、電話の話なんて一切なかったのだから
久しぶりに話すと、懐かしかった
彼は、暇潰しだと言っていたけど、謎に恋愛トークになった
好きな人や彼氏は居るのか、タイプはどんな人なのか、これまでに触れられなかった事を、彼は突然聞いてきた
でも元々何考えてるか分からない変な奴ではあるから、話の流れなんだろうな、と思って正直そこまで気には留めなかった
… いや、強がっていただけなのかもしれない
数分で終わるだろうと思っていた電話
気づいたらみんなが寝るであろう時間になっていた
恋愛トークになったのは、正直私にとってはチャンスだった
あの時伝えられなかった気持ちを、伝えやすい雰囲気になるからだ
私は、当時の惚れてた頃とは打って変わって、ツンケンした態度を取るようになっていた
どう接したらいいか分からなかったのが本音だ
彼は突然言った
「さっきから冷たくない?w俺の事絶対嫌いやん」
ノリのいい、冗談を言うタイプだからこれもその類だろうと思った
「それ本気で言ってる?」
念の為、確認をした
「うん」
正直、この返事には驚いた
心なしか、どこかしおらしく感じた
当時の私には自信満々に見えてた彼が見せた、その声色は新鮮なものだった
今しかないと思った
「今やから言えるけど、あの時普通に惚れてたからなw」
やっと言えた …
私は、感情を言葉で表現したり、自己主張や気持ちを伝えるのは苦手なのに、自分でも驚くほどスラスラと話せたのは衝撃だった
「え?そうなん?」
当時、ストレートに言えないなりに態度に出してたつもりだったが、彼には伝わっていなかったようだ
それから、周りに流されて無理やり距離を置いてしまった事、それを後悔した事
ありとあらゆる、ずっと溜め込んできた気持ちを包み隠さず全て話した
もの凄くスッキリした
「今からでもいいよ」
彼はボソッと言った
私はまた、冗談かと一瞬思ったが、どこか自信のなさそうな声色に聞こえた気がした
「え?wいやー今はもう好きとかじゃないしなw」
私に彼への恋愛感情はもう残ってなかった
これは、あの頃の私が成長した大きな証かもしれない
それから、彼の恋愛観を聞いてみると、独占欲が強い分、自分が苦しい想いをするのは嫌だから好きになりたくない、というものだった
少なくとも好きだった頃はそんな風に見えなかったから、驚いた
彼も私と同じで、恋愛ではあまり自分に自信を持てないタイプだった
不思議と、当時の私と比べてガラッと彼の見え方が変わった
今も、頻繁に連絡を取る関係ではない
でも、一度通話を繋げると平気で5時間以上経ち、彼との時間はいつもあっという間だ
通話をしながらゲームをする事もあるが、どちらかというと話がメインになっている
これは私だけかもしれないが、彼との時間は恋愛感情はなくとも特別な何かを感じる
何か前世で繋がりがあったかのような、ツインソウルのような、そんな感覚を私は彼に抱いている
友達でも、好きな人でもない
彼との関係に名前をつけろと言われると、難しい話だ
そのくらい、特別で不思議な繋がりなんだと思う
彼の恋愛観は、当時の私にはぴったりだ
好きな人だけが居ればそれでいい
友達とか、新しいご縁とかお互い必要ない
今まで本気でそう思っていた
でも、自分を大切にする事、幸せにする事の重要さを学んだ
それは恐らく、彼とは別の
Nさんという男性からだ───────────
今の私は
『好きな人も大事。友達やゲーム、自分を幸せに、心地良くしてくれるであろうものは必要不可欠』
そんな考え方に変わった
これは、大きな進歩だと思う
今これを書いている時にそう思った
自分を俯瞰する機会はそうそうないから、このアプリは入れてよかったのかもしれない
ここに書いた事は全て、実際に私の身に起こった話だ
残念ながら、成長した私が彼と交際に至る事はないかもしれないけど、彼もNさんも、私に変わるきっかけをくれて、気づかせてくれた大事な人だということに変わりはない
正直、このタイトルからこんな長い文章になるとは思わなかった
もし最後まで読んでくれた人がいたら嬉しい
ありがとう