『お父さん』
父に最初に会ったのは、15の時。
背の高い、知らない人が
私に向かって「お父さんだよ」と言う。
私に父の記憶はない。
ただ、クリスマスには毎年願っていた。
「お父さんに会いたい」
父の横には小さな男の子。
彼は父を「お父さん」と呼んでいた。
私は「お父さん」と呼べないまま
1人になってから、子供のように泣いた。
#子供のように
『何番目のボタン?』
「制服の袖のボタン1個、貸してくれない?」
卒業間近の先輩からのメール。
「ボタンが揃っていない」と注意を受けたらしい。
卒業式の前日の放課後。
理科室で学ランにボタンを縫う。
先輩は春から東京の大学に行くと話す。
卒業式が終わった放課後。
「ありがとう。助かった」
そう言って封筒をくれた。
開けるとボタンが2つ。
私の小さなボタンと先輩のボタン。
#放課後
『叶うかは君次第』
君「流れ星が流れる間、3回お願いすると叶うんだよ」
ボク「金・金・金」
君「叶ったら、アイス1年分よろしくね。他は?」
ボク「君・君・君」
君「え?私?」
ボク「すき・すき・すき」
#星座
『ダメな男女』
ダメな男は、ダメな女を見つけるのが得意
優しくしたら、もう好きになっている
そういう人を探すのが上手
ダメな女は、ダメな男の優しさに弱い
自信がなくて、甘えるのが下手だから
空っぽの幸せにすぐ騙される
ダメな同士が1つになって、あっという間に2つになるよ
ダメな男は、新しいダメな女のところへ
ダメな女は、運命の相手探して、傷を増やす
#巡り会えたら
『のど飴』
あなたが咳をしてたから
私は近くのコンビニで「のど飴」を買う
あなたが咳をしたタイミングに
私はさりげなく「あ、食べます?」と渡したい
あなたが咳をするたびに
私はポケットの「のど飴」を触るだけ
あなたが咳をしなくなったころ
私はあなたがプロポーズするって聞く
あなたが嬉しそうに笑うの見て
私は黄昏時に「のど飴」舐めて歩いて帰る