お題「あいまいな空」
どこまでも続く薄墨色の雲
本来の青色はことごとく塗り潰され
あたかもそれが空だと言うように広がっている
色をなくした空には
同じように色をなくした地上があり
空と地の境界線が滲んでぼやけ
梅雨時にはこんな不思議な風景を作り出す
お題「あじさい」
子供らが遊ぶ広場の一画に
その花が両側に植えてある小道がある
ほんの数十歩の道のりだが
日ごとつ色づく姿に
大人は足を止め梅雨らしさを鑑賞している
低木とはいえ、ちょうど子供が隠れられる高さ故
かくれんぼの恰好の場所のようで
花と花をかき分け踏み入る姿を何度も見る
無惨に散らされた、または落とされたその花に
子供の元気さとの対比に哀れさを感じる
せめて道端に落ちているかたまりを
土の上に戻してやるぐらいしか出来ない自分も
また哀れな大人だと自嘲する
お題「好き嫌い」
花びらを一枚ずつ抜いて
スキ、キライ、スキ、キライ
よくある簡易な恋占い
花にとってはたまったものではないけれど
一度や二度した覚えがある
花の種類によって違いはあるが
どうも花びらの枚数は奇数が多いらしい
ならば必然的に
「スキ」から始めれば「スキ」で終われる
とても都合のいいものになる
花びらを一枚ずつ抜いて
スキ、キライ、スキ、キライ、スキ!
純粋に喜べた昔の自分に耳打ちしたい
とても意地悪な感情
「それってね・・・」
お題「街」
何気にグーグルマップで
以前住んでいた場所を検索
あれ、違う建物が建っている
そのまま最寄り駅の方へスクロール
おお、随分と賑やかになってる
ほんの数年前なのにまるで違う街のよう
なんだか複雑な思いに駆られるも
ふとモニター横の窓に目をやれば
同じようにあの頃とは変わった自分が映り
余計に複雑な気持ちになってしまった
お題「やりたいこと」
時間がなくて
余裕がなくて
頭の中だけで欲が膨れ上がってた
時間があれば
余裕があれば
頭から取り出して実現できるのに
時間が出来て
余裕が出来た
頭が空っぽになって思いつかない
時間も余裕もあるというのに
ただひたすらに眠りたいだけ