お題「いつまでも降り止まない、雨」
雨が降れば
途端に犬の散歩の難易度が上がる
濡れるのが嫌で抵抗する犬
どうにか連れ出したい飼い主
お互い譲らない攻防が始まる
あと半月もすれば、それは日常になり
空を仰ぎながら「今日も雨か」とため息をつく
まるでテジャブヴのような光景を
今年もきっと繰り返すのだろう
お題「あの頃の不安だった私へ」
確かに不安だった
不安しかなかった
だけど
終わってみれば
とてもあっけなかった
突然ガラリと生活が変わって
ひとりの責任がとても重くて
逃げたくて仕方なかった
それでも月日が過ぎれば
否応なしにその境遇に身を沈めてしまう
まるで今までもそうしていたように
普通に笑っているんだ
そして終わりが来たら
寂しくて、とても寂しくてたまらなくなる
後悔ばかりが浮かんでくる
だから不安だった私へ
たくさん泣いて
たくさん怒って
たくさん疲れても
その時間は心に残らない
後悔するくらいもっと欲しいと思うから
ダイジョウブ
お題「昨日へのさよなら、明日との出会い」
さよなら、と過ぎた時間にあいさつを
どんなだろう、とまだ知らぬ明日に思い巡らす
では、今日は?
昨日の過去にも
明日の未来にも
今の自分はそこにいない
今日があるから
今の時間を大切に
今があるから
昨日があり明日がある
お題「真夜中」
秒針の音 犬の寝息
遮光カーテンがより暗さを手助けし
耳からの情報ばかり入ってくる
音を頼りに手を伸ばす
午前二時
ああ今夜も上手く眠れなかった
何度も目覚める細切れの眠りは
常に重く頭と身体にまとわりつき
陽の下にいても
現の時間を旅させる
少しでも長く、一秒でも長く
眠りを貪りたいのに
毎朝その願いは叶わない
目覚ましより早起きな足元のカレによって
打ち砕かれるのだから
お題「後悔」
何かしらの選択肢の先に
付いて回ってくる
大なり小なり
頭の中に生まれてくる
もちろん
後悔しないほうがいいに決まってる
けれど結構簡単に、日々日常に
製造される感情
「お昼にぎょうざ食べなきゃ良かった・・・」
急遽入ったデイトの約束
ほら、こんなところにも顔を出す
すぐに製造される
お手軽感情
生きている限り逃れられない
せめて死ぬときぐらいは現れないでほしいな