漆黒の夜は怖い
どぶんどぶん と聴覚を刺激する不快な波音
引きずり込まれて 飲み込まれそうで
早くその場から離れたいと思わせる
月明かりの夜は真逆
たぷんたぷん と少し不規則だけど軽快な波音
揺れる波間に月明かりを宿して
ずっとここで見ていたいと思わせる
海岸とは違う 港の中の海
人の感情の起伏に似ているようにも感じる
いつも月を抱いていられたらいいのに
《 夜の海 》
海岸沿いのこの道は
許可された作業車しか通らない道で
自転車に乗る人 ウォーキングする人
子供と遊びながら歩く人 犬の散歩をする人
そんな人達が行き交う平和な道
片側に美しく光る海が広がるのが見える
潮風の匂いと 強弱の絶妙な波の音に乗って
僕はペダルを漕ぐ ぐんぐんと力強く漕ぐ
今日 初めて
僕の彼女になってくれた君の家に行くんだ
僕の鼓動が早いのは
力強く漕ぐ自転車のせいなのか
君の家に行ける嬉しさのせいなのか
なんかもう わっかんねーけど
この道 最高っっ!!!
《 自転車に乗って 》
聴こえてくる
その歌なんだろう…
君の好きなアーティストのあの曲なかぁ…
ずっと前にカラオケで君が歌ってたあの曲かなぁ…
僕が 現実と眠りの間にいる時の
君の奏でる鼻歌
心地よくて 幸せの膜に包まれているよ
起きてから聞いてみたんだ
え?わたし鼻歌歌ってた?
意識してなかったーー
いいさ 僕 その奏に救われてるよ
《 君の奏でる音楽 》
そういえば
もうだいぶ前から見かけなくなったな…
夏の帽子の定番中の定番
これを被って 虫取り網に 緑の虫かご
セミでかごがパンパンになるまで捕まえて
そうなってから一気にかごを開ける
あの感覚はまるで…
待てよ?
外に出て遊ぶ子供たちがいない
外に子供を出せない親で避暑地は溢れている
さっと頭を過ぎった事を
ここに書くのはやめておこう
そうだ! 麦茶 麦茶!!! (トコトコトコ…)
《 麦わら帽子 》
「 終点 」 それは
目の前の大きな袋の点滴が終わる時間の目安
看護師さんに
「ねー これ終点何時ー??」
《 終 点 》