別れ際に振り向いて、遠ざかってく君の背中に
「またね、」
と言った。でもなんか君に会えることはもう無い気がして、
「元気でね。」
って付け足した。

形の無いものが、目に見えないとも限らない。
毎日のお弁当や心配してくれるライン。
仕送りや手紙、無言のハグとか、
ちゃんと伝わった。

ジャングルジムのってっぺんから、
周りを見渡す。
玉座に座る王様や、
エベレスト頂上の登山家。
私は何にでもなれた。
ジャングルジムのてっぺんなら。

声が聞こえる。
自分の中で叫んでいる。
そんな声を聞きたくなくて、
イヤフォンを耳に押し込んだ。

秋恋は、長続きしやすいらしい。
もう9月の下旬、秋と言えど残暑が厳しい。
暑さと一緒にここまで引きずってきてしまった
夏の恋を、私は一体どうしたら良いのだろう。