sumile

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6/21/2023, 11:31:01 AM

「私ね、本当は男の子になりたいんだ」
私の一番の親友は突然そう言った。そして泣きそうな声で「気持ち悪いと思う」私にそう聞いた。その子は村一番の可愛い子だった。そしていつもピンクのフリフリの服を着ていた。「何で私に話してくれたの?」私は驚きながら聞き返した。私は誰にでも平等に優しくできるわけでもないし完全に差別しないわけでもない。気持ち悪いというよりどうして私?そう思った。その子は泣きながら話し始めた。
本当はピンクより青や黒がすき。スカートよりズボンがはきたい。「どんな色が好き」って聞かれてもピンクだよねって言われる。全部が辛い。そう言った。
私も赤より青がすき。「どんな色が好き」そう聞かれて青って答えるとみんな変な顔をする。生きにくい。
誰が女の子は赤。男の子は青。って決めたのだろうか。大きな町では心とからだの性別が違うことをトランスジェンダー又は性同一性障害というらしい。なぜ障害なのだろうか。好きな自分を表現したら女の子らしく、男の子らしくって。色んな人が自由に自分を表現できる世界ができれば良いな。
[好きな色]

6/20/2023, 2:06:38 PM

あなたがいたから私は強くなれた。でもあなたはもう私のとなりにはいない。あの日貴方を捕まえておけば良かった。
あの晴れた日貴方は私の前に天使のように降り立った。私はあまりの美しさに驚き腰を抜かした。「大丈夫」声までもが美しく丁寧に手入れされているだろう髪に日が差していた。完全に一目惚れだった。分かっている。私にあの子は釣り合わない。ましてや女同士だ。頭では分かっているけれど恋は恐ろしい。同じ制服に身を包まれている集団がいてもあの子だけは見つけることができてしまう。自然と目で追ってしまう。あの子はとにかくもてる。当たり前だ。こんなに美しい子はまたといない。あの子が告白を断わる度に安心している自分がいる。「安心したって仕方がないのにバカだなぁ私」そんなことを考えていると後ろから醜い声がした。「ねぇ、ジュース買ってきてよ」私は心底うんざりした。あの子を見るのを邪魔された。あの子より何倍も醜い奴らに。それでも小心者の私は従うしかない。こんな私が一番嫌いだ。気付いたらあの子が後ろに立っていた。「自分で買いに行け」変わらず美しい声でそう言った。醜い奴らは悔しそうにどっかに走り去った。そしてあの子は「また会ったね」と言った。私はそれだけで天にも昇る嬉しさを覚えた。あの子がこんな冴えない私を覚えていてくれた。あの子の名前は「天使伊織」と書いて「あまつか いおり」というらしい。やっぱり天使だった。「あなたの名前は?」まさか自分の名前が聞かれるとは思ってもみなかった。「蒼井 桜」です。震え声で名乗った。伊織は私を守ってくれた。何も言い返せない弱い私を近くで見守っててくれた。そんな伊織が一週間学校を休んだ。最初はただの風邪だと思った。でも私は聞いてしまったんだ。伊織の命がもう幾ばくもないことに。私は病院まで全力で走った。病室には顔色の悪い痩せ細った伊織が横たわっていた。私は泣きながら駆け寄った。伊織は私の手を握った。消え入りそうな声で「愛してる」と笑った。もう伊織に命の灯火は残ってなかった。聞けば伊織には居場所がなかった。最後を看取ってくれる人もいない。本当に孤独なのだと。初めて私に会ったとき一目惚れした。私はもうすぐ死ぬからせめて好きな人の近くにいたいと。私は声をあげて泣いた。同時に美しく強かった伊織の分まで強く生きよう。そう心に誓った。