ありがとう、ごめんね
ある種のずるさはあると思う。
許してほしいとは思ってない。
好きな気持ちは言わないまま、自ら去ってしまった。
あの人は今、どうしているかな。
部屋の片隅であの男は何をしているんだ。
悪戦苦闘しているのが見えた。ダンボールに何かを入れてたのか。
「何してんだよ。……もしかしてビニールテープ、つけられねぇの?」
そいつは顔を真っ赤にしながら「そうだよ!」と怒り気味で言ってきた。
何怒ってんだか、そう思いながら俺はそいつのダンボールの方へ近づいて代わりにビニールテープをつけてあげた。
「お、おう。ありがとう」
歯切れの悪い返事をしていたが、俺は気にすんなと手を振ってソファーの方へ座りテレビを見ていた。
あとはそいつがダンボールを玄関において、ソファーにきて一緒に話していたのは覚えている。
……今にして思えばあの中身を見てなくてよかったとほっとしている。
だってあのダンボールに死体が入ってたなんて夢にも思わない。
(パッと出てきたものなので続きはないです)
鏡に写った逆さまの自分の姿。
その姿を見て寒気がして後ろをみた。
後ろも鏡だ。
しかも私の見てる方向に、また私が逆さまになっている。
どこまでも延々と繰り返し自分を写して、そうして周りが万華鏡のようになっているのに気づく。
出口がどこにあるのか、そもそもあるのか。
果てしなく続くこの世界から私は、
脱出できるのだろうか。
眠れないほど誰かに恋して
眠れないほど誰かを愛して
その人に会いたいと願うほどに
眠れなくなってしまっている
今もまだ眠れない
夢みることはあっても、現実をないがしろにするようなことはしない。
結局、夢は夢なのだ。現実はそれよりも厳しい。
それなのに、最近とても夢をみている。
愛する人と子供たちがいる。
その人は私に微笑んでこう言った。
「ありがとう、今すごく幸せよ」
実際はこんな言葉をかけられたことはない。
それどころか彼女はもういない。
いつか思い描いた自分の夢を、寝ているときの夢としてみるなんて。
私はまだあの人を忘れないでいる。
夢と現実