過去へ行けたならば、
あなたが生きている頃に戻れたなら、
あなたに聞きたかったことを聞こう。
私はあなたに聞きたかったことがあったのに。
あなたはまだまだ私のそばにいると思っていたから。
ただ1つの質問に対する答えを求めて、
私は過去へ戻る。
でも、過去には行けない。
あなたとはもう話せない。
あなたにしかわからない質問はもうわからないのかもしれない・・・かもしれない。
私は、長い未来をかけて、その質問の答えを探していく。
過去へは行けないけど、未来へはどこまでも行けるんだから。
『来なかった“いつか“を謳って』
あなたと最後に会ったのは、いつか。
あなたは最後に言った、
「また、いつか。」
でも来なかった、「いつか。」
あなたが帰らぬ人になった、五日。
私、あなたを刺した通り魔に一回会ったのよ、
そして行ったのよ、「“いつか“を返して」って。
通り魔はその言葉に首を傾げたけれど、
あなたがこの意味を理解してくれたら、それでいい。
理解できなかったのなら、また会って話しましょう、
いつか。
昔、娘とよく星を見ていた。
ベランダで片手にホットミルクを持って。
「お父さん、知ってる?星って少しずつ地球から離れているんだって!!」
娘はテレビで見た知識を俺に教えた。
俺もそのテレビを見ていたので知っていたが、初めて知ったように反応した。(俺が娘に話そうとしていたことなので少し悲しさもあった)
あれから20年くらいたった。
娘とは喧嘩別れだった。
もう5年ほど会っていない。
娘は星のように、地球の俺からだんだん離れていくのを感じた。止める勇気もない。
その時、ベランダから風が吹き、俺の視線はベランダに行った。星が綺麗に瞬いている。
「久しぶりに星でも見るか。」
ベランダにでた。
星は意外と大きく、輝いて見えた。
「・・・意外と、まだ近くにいるんだな。」
俺はベランダでケータイを取り出し、ある電話番号を鳴らした。あの星を追いかけるように。
「・・・もしもし、話したいことがあるんだ。」
私を大切にしてください。
あなたはいつも私にあまり気をかけない。
でも、私を大切にしないと、近い未来後悔するので
す。
私は知っているのです。
あなたは昔のことばかり気にかけていつも唸ってる。
そんなに私よりも昔の方が大切ですか。
私を見てください。
私を大切にしてください。
あなたの『今』より。
私は、大きくなったら空を飛べると信じていた。
そう思ったきっかけは、アニメだった。
幼少期、空を飛べる女の子が街の困っている人を助けるという内容のアニメをよく見ていた。
その時から私は空を飛ぶことに憧れ、
「16歳になるまでに空を飛ぶ」と、心に誓っていた。
(16歳なのは、例のアニメの少女の年齢が16歳だったからである。)
今、私は16歳だ。空なんて飛べていなく、地上に縛られている。みんなよりも汚れている(ペンのような汚れが多くあった)机と上履きを使い、便所で弁当を食べていた。
いつも通り、便所で弁当を食べていた時、
床に蛾の死体が落ちていた。その蛾は雑巾の色
(それも特に汚いもの)をしていた。それを見て、私は不快な気持ちになることはなかった。むしろ憧れがあった。
こんな汚い場所で朽ちているこの蛾も、朽ちる前は
空を飛んでいたのだ。
私はいっそう、この蛾になりたかった。
そこで私はハッとした。食べていた弁当を風呂敷に包み直し、トイレを出た。
階段を登り、最上階を目指した。
屋上は開放されていないが、屋上の下の階でも十分な高さだった。(最上階は4階だった。)私は最上階の窓を開け、下ではなく上を見た。
一度飛んだ生き物も、死ぬ場所は地だ。
ならば、私も一度空を飛んで地に朽ちれば、あの蛾のようになれるのではないか。
こんな汚い世界と上履きとはさよならだ。
私はこうして校舎の最上階をあとにした。