今まで生きてきて、何度も楽しい夢を見たことはあるが、いつも良いところで目が覚めてしまう。満足に夢を堪能できたことなんて一度もない。目が覚めて、さっきまでのが夢だったってことに気付くと、「また何でもない一日が始まるのかぁ」って軽い絶望を感じて悲しくなるし、その後に「どうせならもうちょっと夢を見ていたかったなぁ」って感情が湧いてまた悲しくなる。中途半端に楽しい夢を見るくらいなら、夢なんて見せないで欲しい。
自分は真剣に人を好きになったことが無いから、恋愛小説とかラブソングの歌詞にはほとんど共感できないし、当然、「何で私の気持ちに気づいてくれないの...?」のような、恋する乙女みたいなことは考えたことがない。恋い焦がれるような恋って一体どんな感じなんだろう。
一ヶ月前は雪が降ってばかりで寒かったのに、最近は晴れの日がずっと続いていて、しかも暖かくて気持ちがいい。だけど晴ればかりだと逆に、あの時の雪景色か恋しくもなってくる。
自分の頭とか心に浮かんだことって、ほとんど言葉にできない。「もっと的確な表現があるんじゃないか?」とか、「これじゃありきたりなこと言ってるだけだ」とか、「主張したいことの根拠が説得力に欠ける」とか、そんなことばかりで、結局モヤモヤを残したまま言葉を発するか、「もういいや」と思って言葉を引っ込めてしまうことがほとんどだ。満足に言葉にできることなんて滅多にない。
これまでは満開の桜が目に映っても、「咲いてるねー」ぐらいしか思わなくて、心にはほとんど何の感情も湧かなかった。だけど最近になって、桜を美しいと感じられるようになったのは、たぶん自分に見栄を張って心に蓋をすることが無くなったからなんだと思う。それまでは、「自分が花を綺麗と思うのは傍から見たらキモい」みたいなことを無意識に思っていて、そのせいでちゃんと花を見るってことをしなかった。今となっては卑屈で自意識過剰だなって思えるけど、前は本気でそう考えていた。そこから何で変われたのかは覚えていないけど、変われて良かったと思う。