私は貴方に呪われている。
細胞の一つひとつ、骨の髄まで貴方を想うように仕向けられて、でも私の想いを貴方に伝える事は出来ない。人生の一分一秒全てが拷問のようだった。
それでも離れたくない、たとえ通じない想いだとしても、傍にいる事だけは許して欲しい。
たったひとつ願うなら、貴方の声が聞きたかった。
#どうすればいいの?
私には宝物がある。それは彼と幼い頃から積み重ねていった幸せの欠片達だ。本当に大切に大切に箱の中にしまって、ずっと私と彼だけの秘密にしようと思っていた。
それなのに、宝箱を仕舞い込んでいた倉庫を誰かに開け放たれてしまった。みんなが箱を次々と開けて欠片達を持って行く。
待って、行かないで、私の大切な。
倉庫を開け放った子が、いつの間にか私の前に立ってこう言った。
「独り占めするのが悪いんだよ」
違うと首を振っても彼女は信じてくれない。私はなんだか泣きたい気持ちになった。他の子達もこっちを睨んでくるみたいだった。
笑わなくなった彼の為だったの。もう一度でいいから、笑顔になって欲しかっただけなの。
そう思ったのが間違いだったのだと、俯瞰していた私が言い放つ。ハッと我に返って、全部私が悪かったのだと自覚した。
私ばっかり幸せで、ごめんなさい。
私は、皆に幸せを分けてあげなくちゃいけなかったんだね。
#宝物
最近同僚の間で流行っているというので購入したアロマキャンドルは、如何にも庶民的な風呂場では酷く浮いた存在になっていた。
私は湯に浸かりながらほうっと息を吐く。
しかし、馴染んでいないとはいえその美しさは疲れでくたくたになった脳を癒してくれるような気がした。
蝋が溶けて床に落ちる。水の流れで排水溝に流れていく。
いつか消えて無くなってしまう。
その儚さが、より一層それの美しさを際立たせているのだと思った。
#キャンドル